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SALON 71 2015年 5月1日

特集 ようこそ建築の世界へ
~子どもたちと楽しむたてものとまち~

はじめに

 子どもの生活環境部会は、時代と共に変化する子どもの環境に目を向けながら、変わらない大切なものとは何かを考え続けています。そして大人として建築士として、私たちができることを模索しながら活動しています。 未来の住まい手であり、未来のまちづくりの担い手である子ども達に、建築の世界を知ってもらうことを目的とした発信活動もそのひとつです。小学生向け企画は楽しく発見のあるもの、そして保護者への波及効果も視野にいれて組み立てることもあります。中高生向け企画はキャリア教育という側面を意識しています。また、たくさんの大学生スタッフ社会人スタッフと一緒に作り上げていることも子ども部会企画の大きな特徴だと思っています。 ワークショップスタッフ全員の合言葉は「極意はまず大人自ら楽しむこと!」です。子どもの生活環境部会、面白そうと感じたら覗きに来てください。(関口)

「夢の家Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」と
「夢の家ふたたび」

 子ども部会の初めての発信活動は小学生を対象とした 2003年の川崎市宮前市民館「つくってみよう!夢の家」です。
世界の家を紹介しながら頭を柔らかくする準備体操をした後、設計図を作り、 自分の夢の家の模型を製作するというワークショップでした。多くの建築士スタッフや学生スタッフにご協力いただく子ども部会ワークショップの形もこの時から生まれました。
夢の家ワークショップ3年目はグループごとにダンボールで大きな家を作りました。
そして初めての「夢の家」から10年目の2013年 同じ会場で「つくってみよう!夢の家」ワークショップを再び開催することができました。子ども達は変わらず設計図に自分の夢の家を描き、模型を夢中になって製作しました。そして10年前、参加者として野球場やドームなどの夢の家を作った子ども達が、大学生スタッフとして、今度は子ども達のファシリテーター役をしてくれたことは私達にとって、また違った財産となりました。  地域で子ども達と活動する時には、地域の大人の関わりがとても大切だと思います。そしてそれに加えて、子ども達にとってちょっと先輩のお兄さんお姉さん、その上の大人の専門家という世代間の関わりも非常に重要だという事が体験を通して感じられます。この縦と横の繋がりが子どもワークショップを豊かにしてくれて、継続する力となるのだと思います。(関口)

学童保育クラブの子どもたちとの10年

 学童に通う子ども達が、夏休みの一日を楽しく過ごせる何かを考えてほしい。 藤沢の学童クラブからのそんな依頼に応える形で2004年からワークショップを始め、10年間続けました。
毎年、クラブ側の希望や時間・場所等の条件をふまえつつ、その時々の機会や時勢・タイミングを考えて、 建築士として何を伝えられるか議論を重ね、年ごとに異なった企画内容を考えてきました。 子ども達が大好きな家づくり工作を手始めに、クラブの建物として使っている築150年の古民家を探検したり、 県建具協同組合のご協力を得て県産木材を使ったパズル作りや、隣接する公園に移築復原中だった 長屋門工事現場での土壁体験、震災の翌年には防災について建築的な視点から考えながら作る ダンボールハウスづくりなど、その内容は多岐にわたっています。 単に楽しいだけではない、子ども達の記憶に残るようなことをしたい、という思いが伝わったのか、 事後アンケートを見ると、またやりたいことの回答に、それ以前の年に行ったことを書いてくれる子が毎年数人いて、 確かな手ごたえを感じながら、気づけば10年たっていました。
この学童クラブでのワークショップは、10年をひとつの区切りとして2013年を最後に休止となりましたが、 若い部会メンバーを中心に、これまでの積み重ねを活かして、 また別の学童クラブで企画をしていこうという新たな志が動き出しているところです。(岩倉)

住まい学習の支援

 学校で住まいやまち、建築に関する授業を行う際専門家の立場から授業のお手伝いをしています。
全員参加の授業では建築の専門家を育てるのではなく、将来の街や住まいの担い手となる子どもたちに 向けての授業を行っています。小学校3年生では総合学習の時間に学年全員で体育館に集まり街の模型を作る、社会科では ワークシートを持ち近くの古民家を見学するなど、受け身ではなく感じて、考えて表現する授業を心がけています。 小学校5・6年生では家庭科「住まい方の工夫」の授業で考えたものを元に図工の時間を使い部屋を立体で表現するなど教科ごとの 学習指導要領を意識しつつ地域や学校の特性を踏まえ、毎回先生と一緒に授業を作りあげていきます。
また、建築の仕事についての質問に文書で答えるなどのキャリア教育、 授業研究会に出向いて教材作りの講師をするといった先生方の支援も行なっています。 現在日本の義務教育には街や住まいに関する教科がありません。 各教科、学年ごとバラバラに行われている地域を知る学習や快適な住まい方の工夫などの時間が有機的に結び付き、 街や住まい、建築への関心が高まる事を期待しています。(氷室)

たてもの・まち探検の楽しみ

 子どもたちに本物を見てほしい、自分たちの暮らすまちを見なおすきっかけにしてほしい、 という想いから、たてもの探検やまち探検をしています。探検をしてからポスターを作ったり、ガイドブックをつくったりと、成果物が残るように工夫しています。 自主企画の場合も授業支援の場合もあります。歴史的な建物を探検するときは特にマナーが大切です。建物を傷つけないよう次のことに気をつけます。
探検のマナー
・壁からはなれて歩こう
・リュックは前に抱えるか置いていこう
・扉やひきだしなど勝手にさわらないようにしよう
探検企画をたてる時の、どこにするかだれと行くかを決める打ち合わせは楽しいひとときでもあります。 事前に見学し、何を子どもたちに伝えるのか、地元の方にお話を聞き、文献調査もして、 正しい情報が伝わるよう心掛けています。 これまでに探検した建物は、旧モーガン邸、グリーンハウス、旧小池邸、学童クラブとして使われている古民家、 旧福原家長屋門、日本赤十字社神奈川支部、ブラフ18番館、ベーリックホール、山手234番館です。 エコでサスティナブルな昔の暮らしに感心したり、昔と今の住まい方の違いに驚いたり、 大人も子どもも共に学べる貴重な機会です。
(佐藤)

子どもたちと一緒に読む本

 私たちの活動には、時々絵本が登場します。 たてものやまち、住まいに関する本はたくさんありますが、その中から、 私たちが参考にしてきたものや実際に読み聞かせた本を紹介します。 お子さんと一緒に読んでみてはいかがでしょう。
『ちいさいおうち』(岩波書店)
バージニア・リー・バートンというアメリカの絵本作家の描いたお話です。 大切なものは何かを考えさせられる内容で、70年以上経った今も色あせていません。 模型作りワークショップの前に紹介しました。
『あなたのいえ わたしのいえ』(福音館書店)
何があったら家と呼べるのかという定義「家のモト」を考えるときの参考にした絵本です。 加古里子さんのユーモアあふれるメッセージは、大人も立ち止まってじっくり耳を傾けたくなります。
『よわいかみ つよいかたち』(童心社)
防災を考え、強い建物を作るワークショップで、この絵本を参考に強い形のお話をしました。 科学的な視点で描かれた絵本で、読み終わったあとには、自分で実験してみたり、 お家の方に自慢したくなるのではないでしょうか。
このほかにも自然や風土、文化などに関する絵本から、建築が人々の生活にとても大切なものであり 様々な要素が関わっているということが感じとれます。これからも素敵な絵本を紹介したいと思います。(小山) 

これからの子ども部会

 一昨年20周年を迎え、記念冊子の作成とイベントを行いました。 子どもの生活環境部会を立ち上げた時の時代背景、発起人たちの想いや、過去にやってきた企画を 振り返る良い機会となりました。
時代が変わって地域環境はどう変わったのか再度調査してみたい! 過去の企画を今の子どもたちとやってみるのも楽しそう!と思っています。初心を忘れることなく、 自分たちも勉強し、研究しつつ、新しいことにも取り組み、これからも楽しく活動していきたいと思っています。
子ども部会をのぞいてみたい方! 昔子どもだった方なら誰でも楽しめると思いますので、
どうぞご参加ください。
この度、ホームページをリニューアルしました。神奈川県建築士会のホームページからどうぞ。
http://www.kanagawa-kentikusikai.com/iinkai/gijutsu/kodomo/
こんなことできないの?こんなイベントがあったら参加したいなど、 問い合わせは下記アドレスまでお願いします。(宇野)
 kodomo@kanagawa-kentikusikai.com

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支部・委員会 活動報告

青年委員会
平成26年 建築士試験 新規合格者セミナー

青年委員会は、建築士試験の新規合格者向けセミナー『けんちくラーニングのススメ』を、2回にわたり開催しました。

 神奈川県建築士会青年委員会は、平成26年の一級、二級、 木造建築士試験合格者向けのセミナー「けんちくラーニングのススメ」を 「1st-stage」「2nd-stage」の2回に分けて開催しました。
1st-stageは、第1部に神奈川県建築安全協会のご協力による「いまさら聞けない確認申請講座」、 第2部に本会青年委員の山中による「実務者から伝えたい木構造」、 第3部は奈良青年委員長による「建築士のためのベネフィット講座」を実施しました。 そして第4部は、花方会長から建築士免許証明書を合格者に交付する授与式を開催し、その後懇親会を開きました。 県内各地から51名の参加があり、新人建築士が自己研鑽の必要性を感じとりました。
免許証明書交付式を前に花方会長は、建築士としての責務など自覚を促した上で「建築士の資格は永久に続く。 だからこそ日々の研さんが必要になる」と継続的な努力の必要性を挙げるとともに、 情報化社会の中で同期の仲間と相談・情報交換ができる建築士会の存在を示し、 「皆さんがまとまり、職能を高める。そのために建築士会を役立てて欲しい」とあいさつしました。
青年委員 伊東 良平

 2nd-stageは、3月21日に横浜技能会館にて行われました。セミナーは3部構成で、次の内容です。
第1部は、建築家の北川原温氏の講演です。写真やエピソードを含め事例・進行中のプロジェクト紹介頂きました。 また、若い頃に考えていた事、これから活躍される合格者へのメッセージなどのお話頂きました。
第2部は、弁護士の丸山幸郎氏の講演です。民事再生法について講義して頂きました。 仕事をしていく上では建築の知識だけでなく、こうした法律の知識も必要ですので、他人事ではなく我が身に なって考えさせられるキッカケとなりました。
そして第3部は、奈良青年委員長の講演です。建築士会についての紹介や、 自己研鑽の継続を再認識させる内容の講義をして頂きました。合格者にとって、 これから進む指針のヒントとなったことでしょう。
今回のセミナーは、合格者はもちろん、参加・出席された方々にも有意義なものとなる内容でした。 その後、建築士免許証明書の交付式を行いました。合格者は一人ひとり、花方会長から建築士免許証明書を授かり、 とてもやる気と希望に満ち溢れた様子が感じられました。これからは、 品位の向上と社会貢献を目指し活動されることを願っています。 セミナー後には交流会も行いました。昨年は合格者の立場でしたが、 本年は合格者を迎える側として、参加させて頂きました。合格者の体験や、各人のこれからについて等の話に 花を咲かせ、親交を深めることができました。合格者は、まるで昨年の自分を見ているかのようで、 初心に帰ると同時に、この一年を振り変える良い機会となりました。思えば、この一年間、 建築士会の活動を通し様々な方々と出会い、多くの事を学ぶ事が出来ました。 合格者にも、建築士会をうまく活用してご活躍される事を願っております。 また、このような活動が継続して行われるよう期待します。
青年委員 田中 良明

& 建築士免許証明書 授与式を開催

参加者の感想:

 今回、「けんちくラーニングのすすめ」に参加し、建築士として気を引き締められる 良い機会となった。
初回は、建築の基本である確認申請や構造の話であった。
初めて建築士を取った身としては、わからないことが多いながらも、 勉強になることが多かった。
また2回目では、北川原温先生より夢のある話を伺った一方で、丸山先生、 奈良さんより、法的や側面や、マーケティング等の現実的な話を伺い、 建築士として求められる責任を改めて感じることとなった。
境井 彰

青年委員会は、45歳以下、または合格・入会2年未満の新規会員が構成する若手集団です。
青年委員会の活動は 
https://www.facebook.com/YAKanagawa へ!

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◆川崎支部◆
「アルヴァル・アールトから学ぶ」講演会に参加して
川崎支部  深澤 律子

 2月28日(土)、川崎駅から徒歩5分程の川崎商工会議所で 「アルヴァル・アールトから学ぶ」の講演会が開かれました。『フィンランド 光の旅~北欧建築探訪』 を出版されている九州産業大学工学部教授の小泉隆先生が今回の講師を務めて下さいました。 先生はアールト建築に見る「光と闇」に惹かれたのが研究をするきっかけになったと冒頭の挨拶で言われました。 現在の日本の住宅は設備が整っているのでさほど自然環境と共有しなくても快適な住居環境を得ることができる。 でも何か大切なものを忘れてしまっているのでないか・・・。 そんな風に考えていたタイミングでの今回の講演会。 冒頭の先生の挨拶から引き込まれていました。モニターに映された数々のアールトの作品は 先生が自ら現地に足を運び見て感じたものだったので、説明は生き生きと伝わってきました。

 紹介されたのは有名なパイミオのサナトリウム、ヴィープリの図書館、クリスタルライトを巧みに利用した 国民年金会館本館、マイレア邸を始め、数多くの写真を用意して下さっていたため 時間が足りない程のボリュームでした。ヴィープリの図書館では円筒形のトップライトが採用されているが この角度はまっすぐ垂直に降りているのではなく、太陽の角度である52°に傾斜させている。 自然光は拡散させ、人工照明は壁に当てているなど工夫がされています。光が貴重なフィンランドだからこそ、 人が心地よく感じるものを敏感に感じ取ったアールトだからこそ生まれた空間なのだと感じました。 小泉先生が作品を説明しながら教えて下さった取材時の裏話の楽しさも要因だったのではないでしょうか、 この講演会の時間があまりに短くあっという間に感じたのは私だけではないと思います。 一人でお気に入りの人の展示会や講演会等に出かけるのも楽しいけれど、 講演会の後にこのように共感しあえるのはまた格別です。

◆県央支部◆
ベトナムの伝統的民家
県央支部  南雲 一

 平成27年2月28日、海老名市文化会館にて、「日越協力  ベトナムでの文化財建造物の修復」と題し、歴史的建造物の修復の講演会が催されました。 ベトナムの国土は南北に細長く、地理的・歴史的に、北部、中部、南部の三つの地区に分けられ、 伝統的民家の意匠・構造もそれぞれに特有な形を持ちます。では、北部の民家の特徴をご紹介します。
◆民家の基本は木造、平屋建て
  間取りは、先祖の祭壇と接客の間(主室)を中心にその両側に就寝などの私的な間(側室)、 さらに前面に葺き下ろしの半外空間(ヒエン)で構成される。 主室は間口・奥行きとも3間、両側の側室の間口は1間。全体で間口5間、奥行き4間が基本です。 この基本形に左右または背面に間を増やすなど、いくつかのバリエーションがみられる。
◆出入り口は桟唐戸、敷居は高め
  建物の正面3間には板戸を建て出入り口とし、敷居は膝の高さほどの位置にあり、 内法高は床から人の背丈より少し高い程度で、出入りの際は、敷居を大きくまたぐ必要があります。 この建具が取付く柱筋には、最前列のヒエンの柱筋の場合、1間入った側柱筋の場合(図はこの例に該当)、 さらにもう1間入った身舎(中央の一対の柱)の前面柱筋の場合もあり、地域的に異なった展開がみられます。 床は土間で、磚敷きが多く、一部に叩(たた)きの床も残る。
◆丸い柱、斜め梁の架構
 柱は6寸~8寸ほどの丸柱で、丸い礎石に建つ。梁間方向の架構は、一対の身舎柱を飛貫でつなぎ、 次いで(外側の)側柱と(ヒエンの)庇柱頭部に先端部が湾曲した斜め梁を柱頭にわなぎ込む。 この後、身舎柱と側柱を飛貫で結び、身舎の柱頭部に小屋梁を掛け、 上に横木を渡し母屋を受ける。屋根は切り妻造り、平瓦葺き、平入り。

◆横浜支部◆
美術館建築シリーズ〜 東京都庭園美術館の見学 〜
横浜支部  鈴木 洋子

 横浜支部の「美術館建築シリーズ」今回はアール・デコ様式の東京都庭園美術館でした。昨年11月にリニューアルオープンしたばかりで人気があり、2月18日(水)の異例の平日開催。平日なので参加者が集まるかドキドキでしたが、開催前の週末に20名を越し、企画を進めていた総務委員メンバーはホッと胸を撫で下ろしました。しかし当日は残念なことにみぞれ混じりの冷たい雨、それでも1人のキャンセルもなく22名が参加。その日は偶然、シルバーデイで参加者9名が入館無料になる嬉しいハプニングで見学会の幕が開きました。 まず庭園美術館副館長の岡部友子さんから、アール・デコの美術品と称された庭園美術館の概要と、清掃・修理された数々の造り付けの美術品の話。中でもヒビが入った「香水塔」の気の遠くなるような人力での細かい修復話には会場からため息が。その後、久米設計の安東直さんより本館の改修と管理棟の新築についての説明。

 本館は貴重な歴史的建築物として東京都指定有形文化財指定の為、保存協会が排水溝に至るまで調査を行ったこと、管理棟仕上材は本館と競合しないよう配慮したことなど話して下さいました。 見学では本館では細やかな職人技に魅せられ、管理棟では設計者の意気込みを感じました。個人的には管理棟の照明設計に感心しました。早足に見たので、その週末にもう一度、庭園美術館に足を運びました。それでも尚、見たいと思わせる美術館です。

◆横須賀支部◆
志高原スキーバス旅行
横須賀支部  高戸 憲一

 今回、初参加行って参りました。
3月5日の夜から2泊3日で、今年も横須賀支部恒例の、スキー旅行がありました。 天候にも恵まれ、楽しい3日間を過ごして来ました。横須賀と横浜の2ヶ所で参加者を拾い、総勢26人、 志賀高原サンバレースキー場に向かいます。半分以上の参加者の方は常連で、1年ぶりの再会を喜び合い、
まさに家族・仲間!と言う感じです。皆さんとても仲良くて、 最初は引き気味だった初参加の私も受け入れて頂き、とても楽しく3日間を過ごせました。
志賀高原のスキー場は広大で、どこから滑って良いのか分からない位です。 そこは常連の方にエスコートして頂き、スキー場を隅から隅まで満喫する事が出来ました。 ただ、私自身20年ぶりのスキーだったので、結構、不安でした。
最初はぎこちなく、大丈夫かなと思いましたが、 意外と体が覚えているものです。すぐに勘を取り戻せました(かな?)。青い空と、 真っ白なゲレンデ…
見ているだけで心も、体もリフレッシュできます。
それこそ、そのゲレンデを滑って見れば… また、泊まった宿"志賀の湯ホテル"は部屋良し!食事良し!温泉良し!特に温泉は、 一日滑って久しぶりに酷使した体を癒すのには最高でした。驚いた事に帰った後も、 筋肉痛&疲れも出ず、気持ちだけリフレッシュして帰ってくる事が出来ました。 良い事ばかり書きましたが、本当に良い事ばかりです。常連の方も、まだ参加した事の無いの方も、ぜひ来年ご参加下さい!
(例年1月中旬頃に募集案内が出ます。)

◆教育講習委員会◆
第58回神奈川建築コンク-ル見学会
教育講習委員会 副委員長 髙橋 秀行

 2015年3月25日。春うららな陽気の中、満席となったバスは第58回神奈川建築 コンク-ル作品見学会へと繰り出しました。今年度の一般建築物の応募は47件あり昨年よりも 11件増加した模様。入賞作品の中から優秀賞の「Silver mountain & Red cliff(洗足学園音楽大学)」 同じく優秀賞の「川崎生命科学・環境研修センタ-(ライズ)」最後に最優秀賞の「マ-クイズみなとみらい」 で締めくくりです。出発から30分程でステンレス葺きの曲面建物と真っ赤な矩形建物が目に飛び込んできました。 「Silver mountain & Red cliff」です。クリエイティブなランドスケ-プを 構成する二つの建物は私達の想像を掻き立てます。
中ではNHK交響楽団がリハ-サル中。 さきに進むと研ぎ澄まされたディティ-ルの驚きの空間。設計者より、 設計コンセプト・施工面での苦労箇所・学園側が最初から最後まで担当できる人を望んでいたこと・ 3DCADの設計手法では予測出来ないものは無いこと・内外の目地や開口部などディティ-ルのこだわり・ コンクリ-ト面が多くても望ましい音響性能を整えられること と、たくさんの説明を頂きました。
次に向かうは多摩川沿いの造成地、殿町.国際戦略拠点キングスカイフロント。
「川崎生命科学・環境研修センタ-(ライズ)」へ移動です。 建物開口部は北側面に大胆にデザインされており、多摩川・羽田空港の美しい借景を取込んだ研究所です。 建築主・設計者・施工者は同じ企業であり、ライズの事業スキ-ムは、20年間建物を保有・運営し、 その後建物所有権を川崎市に移転するものです。
設計者より、航空法の高さ制限いっぱいの工夫、 環境評価においてCASBEE川崎Sランクを達成。その技術はコアに大きな環境装置としての吹抜け (セントラルボイド)を用い、太陽光・太陽熱・空気熱・地中熱と自然エネルギ-をフル活用し 建物省エネ度を監視・制御する仕組みを構築している説明を頂きました。地下ピットまで覗き込んで 免震装置の計器類も見させて頂きました。最後は「マ-クイズみなとみらい」。 現地では、豊富な資料と極めの細かい案内計画を持って、設計者の方が待ち受けてくださっていました。

 先にミ-ティング室にてじっくりと設計コンセプト・計画の推移・配置・アプロ-チの考え方・ コモンスペ-ス・ランドスケ-プ・屋上庭園・照明計画・景観地区協議の苦労・横浜市のこだわっているところ・ 竪穴区画内の突出し床の苦労・避難検証法の苦労、地下鉄との調整・消防で4年もかかったことの説明に 質疑が飛び出し、より深い話しを聞く事ができ、建物内の見学では説明された一つ一つを確認しながら見る事が できました。見通しがきき、変化にとんだ、緑豊かなこの施設はオ-プン3カ月で500万人もの来館者が あったとのことです。いずれの作品も、設計者の方が技術に裏付けられた説得力のある説明を丁寧にしてくださり誠に感謝しています。58回の歴史を持つ神奈川建築コンク-ル見学会は建築士会の目玉の一つと思っています。 今までも多くの方の参加に感謝し、これからも多くの方に参加して頂けるように続けていきたいと 考えておりますので、皆さまよろしくお願い致します。

◆防災委員会◆
被災地住宅相談員(キャラバン隊)支部別研修会を開催
東 二郎

 平成25年度防災委員会として被災地住宅相談(キャラバン隊)研修会を 横浜開港記念会館で行いましたが、平成26年度は、キャラバン隊へのより深い理解、疑問点の解消、 新たなキャラバン隊への登録呼掛けを目的に、各支部で研修会をお願いする事になりました。 これまで昨年11月26日県庁職域支部を皮切りに、今年1月21日相模原支部、1月23日湘南支部、 3月9日川崎支部の4支部で研修会が実施されました。 開催前に、各支部よりどのように進めて行けば良いか、基本資料としては防災委員会が主体となって作成して ほしいという要望もあり、最終的には質疑応答集を作成し、 研修用にパワーポイントを作成、委員会内でQ&Aの内容を検討し、 説明は各支部の防災委員が担当する事でスタート致しました。 各支部では皆さんから貴重な意見を頂きました。 キャラバン隊経験者の方からの説明で、被害の状況、キャラバン隊の活動状況などが現実的に理解しやすい 意義のある研修だったという意見。被災地での相談者との問答集があった方が良いのではないかという意見。 今後の課題で、神奈川県が被災した場合の整備、他県からの応援を受け入れる場合の コーディネイターの育成も急務なのではないか等活発な意見交換ができた事は、 今後の活動目標として参考になりました。

◆景観整備機構委員会◆
北信州木島平村(月岡家住宅)調査
スクランブル調査隊  廣澤 隆志

 2014年8月9・10・11日の3日間にわたり、士会会員の奥様の実家である 北信州の木島平の家を調査致しました。広い敷地内に現在残っている建物は、大きな寄棟の屋根を持つ主屋、 蒸篭(せいろ)造りの文庫倉、2棟の土蔵及びレンガ積みの煙突です。 所有者は、重要文化財とはいえないまでも村の歴史を語り、後世に残す遺産として、 村の活性化につながる利用策を考えている様です。建物についてのまとまった資料や図面がなく、 記録として残す調査でした。一般住居とは多少異なる用途・規模・間取りの建物で、消滅させては惜しい建物ですので、 広い間取りを活かした「古民家公民館」の様な保全活用ができればと思います。 調査・計測は会員の家族4名、所有者家族2名私共スクランブル調査隊4名の総勢10名で、 時間を忘れるほど興味深いものでした。また、調査後近くの温泉にはいり、大勢でいただく おいしい地元の食材などは最高でした。このような調査であれば毎日でもいいかな。 市街地のコンクリートと鉄とプラスチックで囲まれて生活をしている私としては、 たった2泊でしたが新鮮で、テレビ(ディスプレイ)のない3日間は長くもあり短くもありました。 木のある生活が人間に与える影響を改めて感じた調査でした。

技術支援委員会
◆委員長から一言◆ (村島 正章)

 26年度の活動では、また新たな知識を得て、仲間も増えました。 27年度、気持ちを入れ替えて引き続き会員の皆様の期待に応える活動、講習会等を実施していきます。 1人でも多くの皆様の参加をお待ちしています。

■福祉部会 (下村 旭)

 福祉部会では研修会として平成27年2月14日に「理学療法士の視点から学ぶ、 住環境整備へのヒント」~評価や介助方法の体験を通して~、平成27年3月14日に 「住宅改修ワークショップ」~なぜバリアフリーじゃない住宅が多いの?~を行いました。 2月14日の研修会は『建築士としてこれだけは知っておきたいバリアフリー』研修として 今後も継続していく予定で、第一回として住宅改修の実践を活動されている理学療法士から 住環境整備のノウハウを学びました。また、3月14日の研修会は理学療法士、作業療法士と連携した 研修会として四回目となります。今回はワークショップを主に行い、専門職間の意見交換を行いました。 出席された方の感想は別の機会にしたいと思いますが、 介護・福祉の専門職と様々な意見を交換することは住まいを考える上で とても有意義なものだと考えています。さて平成27年度から福祉部会は新体制となり、活動も転換期を迎えます。 これからますます高齢社会が進む中、福祉部会の果たす役割も大きなものになっていきます。 ぜひとも多くの会員の皆様と共に発展していってほしいと願っております。 本当にありがとうございました。

■木造塾部会 (星野 将史)

 平成26年度第3回目となる木造塾講座を情熱大陸でも 紹介された大工宮内寿和氏を講師に招き、-「心」を込めた木造への挑戦-と題して3月7日に行いました。 講座は、2部構成での話となりましたが、第1部は、感動したというスカルパの建築の話から、 自らの生い立ち、木造の作り手を担う大工としての立場で直面している様々な問題のお話しでした。 他の職種にも共通する問題などもあり、共感できた受講者も多いのではないだろうかと思います。 続く第2部は、それらの問題の解決意識から生まれた現在の取り組みについての事例を交えたお話しでした。 挟み梁構法や水中乾燥等、独自に研究し、木を使ってもっといろいろな形にチャレンジできるのではないかという 考えの下、よくある自己満足の技でなく、意匠、構造、材料への考え方、それぞれがリンクした一本の筋のような 木造への取り組みに感銘を受けた受講者も多かったと思われます。宮内先生の人柄か、聴いていて惹き込まれるような 「心」の込もった木造の話は必聴でした。

 なお、木造塾部会は4月より部会長を交代し、新部会長の角栄子さんの下で心機一転、 さらにより良い活動に向けて励んでいくこととなりました。任期満了に伴い、設立準備より4年にわたって 務めさせていただきました、木造塾部会長を交代させていただくことになりましたが、士会の中で一つの新しい 部会を立ち上げるという、なかなかできない経験ができたことに感謝しております。 部会を運営するにあたり、良き仲間に恵まれ、木造塾は士会会員の木造への研鑽の糧となる有用な情報を得られる 学びの場を生み出せていると思います。私自身この木造塾を誇りに思っておりますが、その反面、建築士会にどうして 木造と同じようにRC塾やS塾が無いのかとも思います。構造形式を問わず、学ぶ場を欲している建築士は多いのでは ないでしょうか。 そんな考えはさておき、27年も粛々と木造塾の活動を続けてまいりたいと思います。 今年度も木造塾の活動に乞うご期待ください。

新・建築探訪シリーズ :歴史的建造物探訪 №17

比企谷幼稚園
【このコーナーでは神奈川県内に現存する、スクランブル調査隊メンバーがかかわったり
探訪した歴史的な建物やまちなみを紹介します。】

 鎌倉駅東口から鎌倉郵便局前を大町方面に歩き、 夷堂橋を渡ると妙本寺総門が見えてきます。総門のすぐ右手にある建物が比企谷(ひきがやつ)幼稚園です。 比企谷幼稚園は、妙本寺支院 大円院の跡地に昭和12年設立されました。園舎は敷地北西側に配置され、中央部に正八角形の大きな吹抜けをもつ木造平屋建てです。当時の妙本寺貫首 島田勝存上人が、宗教的情操を基盤とする幼稚園教育の殿堂をつくろうと、八角堂の夢殿をイメージして発願したとのことです。 その当時、「幼児教育」という近代の思想を洋風意匠ではなく、夢殿に着想を得て仏教教育の場に相応しい神社仏閣のような外観と結びつけた点が特徴的です。 設立当時の平面図より、園舎は中央に遊戯室、四方に演壇と教室(現在は職員室と遊戯室の一部)を配置した「梅鉢型」であったと記載されています。内部は二層目が吹抜けで、天井高は吹き抜け部分で約9m、旧教室でも約4mあり、幼稚園の機能以上の高さです。 遊戯室は天井の吹抜け部分が正八角形で、雲形の開口部が全8面に設けられています。演壇は格天井で、中央の祭壇には二本の丸柱、丸柱をつなぐ頭貫のケヤキ材には、妙本寺の梁や貫の彫りと類似した絵様が彫 られ、園舎で最も格式の高い仕上げとなっています。 構造は、台形状トラス構造(対束トラス)が一重部の屋根裏内にみられます。八注屋根を支える丸柱や一重部屋根の軒を支えるはね木をこのトラスに組んでいる構成に特色があります。 園舎は70年以上、地域に根ざした幼稚園としての機能を継続しています。また、社寺建築として和風の特徴を 有しながら、洋風のトラス構造を用いるなど、建築当時の建築史的背景もうかがい知れる貴重な建物で、 形状の大きな変更もなく竣工当時の姿を残しています。そして、地域のランドマークとして住民から親しまれており、 鎌倉でも歴史的まちなみの濃い大町地区の景観形成において重要な役割を果たしています。
(参考:第5回 邸園(歴史的建造物)保全活用推進員養成講座Eグループ「比企谷幼稚園調査報告書」)
<概 要>
名 称:学校法人 比企谷学園 比企谷幼稚園
所在地:鎌倉市大町1−13−10
建設年:昭和12年(「比企谷幼稚園 設立書類」による)
設 計:那須技師(「祖師堂改修記念出版」による)
棟 梁:関佐一郎(「祖師堂改修記念出版」による)
構 造:二重宝形造(八注)一辺を6.7mとした八方形を基本とする木造平屋建て
屋 根:銅版一文字葺き・六寸勾配
(スクランブル調査隊 水澤結花)

北鎌倉明月荘のこと

大変残念なことに3月22日、北鎌倉にある明月 荘が全焼しました。これまで修復等に関わって来られた方々にお見舞い申し上げます。 SALON67号 建築探訪№14で明月荘を取り上げました。
http://www.kanagawa-kentikusikai.com/iinkai/jouhou/SALON/salon67.html#tanbo

ご覧ください。

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会員さろん

幅広い会員の皆さんの声をうかがう「さろん」。
建築士会の活力は、本会の各委員会だけではなく、各支部の活動に支えられています。 今回は、横須賀支部の阿部さん、小田原地方支部の鎌田さんから寄稿いただきました。 本会で顔を合わせることがなくても「あそこでは、こんな人が頑張ってるんだ」、ぜひ汲み取ってください。

「支部活動が楽しみに転化」
横須賀支部  阿部 昭二

私が建築士会に入会したのは、平成10年です。今年で17年目になります。 当時、入会した目的は講習会や研修会を受けることにより、業務に関わる最新の情報収集や建築知識を高めようと 思ったからで、初年度の支部総会に出席して以来、行事などには参加していませんでした。 三年前に支部会員の方が、度々、総会や行事に誘ってくださるようになり、支部運営役員に就かせて頂き、 幹事会に出席するようになりました。毎年開催される建築展やよこすか産業まつり等のイベントに参加することにより、 今まで詳しく知らなかった支部の活動もわかるようになり、又、出会うことのなかった方々とも 知り合うこともできました。 建築士会で活躍されている大先輩の方々や同じ世代の仲間と交流することで、 新たな価値観や自分とは違う考えを見出す事ができ、いつも感謝しております。 役員になった当初は行事や幹事会に参加するのは負担になるのでは?というネガティブな考えも正直ありましたが、 現在は建築士会の活動が楽しみとなっています。 建築士会の会員数は年々減少し、厳しい状況であると聞いています。 若い会員が少しでも増え、発展していくように、微力ではありますが、お役に立てればうれしく思います。

「泥臭いけど重要な仕事」
小田原地方支部  鎌田 真行

 私は平成25年9月に神奈川県建築士会に入会し、縁あって翌年4月より小田原地方支部の 役員を務めています。まだ入会してから日が浅く、満足に活動に参加出来てはおりませんが、 業務の範囲内で少しずつ関わっていこうと考えております。さて私は、長らく民間の建築施工の業務に 携わってきました。建築施工の特色のひとつとして、その関わる人の膨大さと責任にあります。 お客様の要望と予算、それを汲み取る設計者の意図、そして協力会社の管理を総合して、 無形から有形の完成建築物に具現化する、ある意味非常に泥臭いプロセスに忙殺されます。 さまざまな制約の中でQCDSのバランスを取る、そしてその対価として利益を頂戴するのが 施工の立場であることは当然です。しかし、その中でもうひとつ忘れてはならないのは、完成建築物は お客様だけのものではなく、社会が共有する財産であることです。それは設計のみの理念ではなく、 建築に携わる人間すべてが、そのプロセスで念頭に置かねばならない重要な視点です。 各々の事情と制約の中で、建築士が社会にどのように貢献すべきか、建築士会の活動を通して 少しずつ考えていきたいと思っております。

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