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SALON80 2016年 11月1日

新・建築探訪シリーズ :歴史的建造物探訪 №25

旧和田家住宅(茅ヶ崎市民俗資料館)
【このコーナーでは神奈川県内に現存する、スクランブル調査隊メンバーがかかわったり
探訪した歴史的な建物やまちなみを紹介します。】

 JR茅ヶ崎駅で相模線に乗り換え、香川駅に降り立つと、茅ヶ崎北部ののどかな雰囲気が感じられます。駅から徒歩20分程のところにある旧和田家住宅は、隣接する浄見寺境内にある旧三橋家住宅と共に茅ヶ崎市民俗資料館として公開されています。
 茅ヶ崎市指定重要文化財の旧和田家住宅は、萩園村の村役人を務めた和田家の主屋で、11代和田清右衛門が建設しました。昭和57年に和田家から茅ヶ崎市に寄贈され、昭和60年に現在の茅ヶ崎市堤に移築復原されました。その解体工事中に棟札が発見され、安政2年上棟であることがわかりました。
  この住宅は完成までに10年以上を費やし、工事記録である普請帳が7冊残されています。最後の1冊は関東大震災(大正12年)の被害復旧の時のものです。 この記録から工事が農繁期を避けて進められ、職人だけでなく村人も協力していたことがわかります。この住宅の文化財としての価値は、①幕末の大型民家の特徴を良く備えており、②改造が少なくよく当初の様子を残している、③良材を用いた質の高い造作である、④普請帳などの資料から建設経緯が明らかであるという4点が主なものです。 昭和60年発行の「旧和田家住宅移築工事報告書」(茅ヶ崎市教育委員会編集発行)に詳しい解説や図面があり、大変参考になります。
スクランブル調査隊では、この建物の保存活用に向けた現況調査に協力しています。

 概 要
名 称:旧和田家住宅
所在地:茅ヶ崎市堤3882番外
敷地面積:3,991㎡
床面積:194㎡
旧所在地:茅ヶ崎市萩園2334番
寄贈年:昭和57年(1982)
文化財指定:昭和57年7月20日茅ヶ崎市重要文化財
建設年:安政2年(1855)上棟(棟札による)
移築年:昭和60年(1985)4月竣工
施 工:㈱眞木建設(解体及び移築復原工事)
構 造:木造 平屋建
屋 根:茅葺 寄棟 一部こけら葺
外 壁:土壁及び簓子下見板張
(スクランブル調査隊 佐藤 里紗)

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◆特集:ル・コルビュジエとその弟子たち

弟子たちの歩みと師のアーカイブ

 本年7月、東京・上野の国立西洋美術館など、7カ国の17施設が「ル・コルビュジエの建築作品」として世界文化遺産に登録されることになりました。 言うまでもなく、ル・コルビュジエ(1887-1965)はパリを拠点に活躍した建築家であり、彼のアトリエには、彼を慕い、その先進性を学び自国に持ち帰ろうとする若き建築家が世界中から集まりました。ル・コルビュジエのアトリエで活躍した日本人の弟子は前川國男(1905-86、1928-30に従事)、坂倉準三(1901-69、1931-39に従事)、吉阪隆正(1917-80、1950-52に従事)の3人。 SALON 80号では特集としてコルビュジエに、マエ、サカと呼ばれた、 前川國男と坂倉準三が神奈川県内に残した主な作品を紹介します。
 まず弟子入りの先陣を切った前川國男は、コルビュジエの代表作の一つであるサヴォア邸などの、いわゆる「白の時代」に従事しています。帰国後の前川は、コルビジュエから学んだ理論・形態だけでなく、作品に『コルビジュエ・カラー』を用いるなど、細部まで師の教えを忠実に継承していきます。この事実は彼の代表作のひとつ、神奈川県立図書館・音楽堂のスチール枠の黄色の塗装や建物壁面などに今も残されています(普段は関係者しか入庫できない図書館書庫内のスチール階段枠も黄色でした)。1954年竣工の前川國男の秀作は、竣工後60年を経ていまだ現役の施設として、その輝きを失っていません。 2人目の坂倉準三は、コルビュジエがアルジェの都市計画やソヴィエト・パレスのコンペ案、そして主要著書の「輝く都市」(日本語翻訳:坂倉準三)や「伽藍が白かったとき」を記した、いわゆる「都市計画の時代」に従事しています。

 県内における坂倉準三の主要作品として紹介した「神奈川県立近代美術館鎌倉館」において、20年前の1997年2月から3月にかけて大規模な回顧展「ル・コルビュジエ展」が開催されました。当時、建築家の作品展は珍しかったのですが、同展は、東京展(池袋・セゾン美術館【1999年閉館】)、広島展(広島市現代美術館、設計:黒川紀章)そして鎌倉展(同美術館)の巡回展として開催されています。今考えても、弟子の坂倉準三が設計した同館で師の回顧展を開催するという、 粋な企画をした当時の企画編集委員のセンスとご苦労 に賞賛を感じえません。余談ですが、当時、筆者も同館で回顧展を観覧したひとりでしたが、会場内はエスキース帳を持ちじっと図面や絵画に見入る建築家の卵たちの熱気で溢れていたことを覚えています。 師からタカと呼ばれた3人目の吉阪隆正は、第二次世界大戦後、コルビュジエがロンシャンの礼拝堂やチャンディガールの政府建築物などといった、どちらかといえば曲線的な表現や豊かな色彩、光の効果を多用した「変貌の時代」に従事しています。また、吉阪はマルセイユのユニテ・ダビタシオンの現場監理を任されていたことでも知られています。吉阪は神奈川県内に大規模な作品を残しておらず、住宅の赤星邸(藤沢市、1965年)が確認できる程度です。しかしながら神奈川県に隣接する八王子市の大学セミナーハウス本館(1965年)などを見ると、確かに吉阪はコルビュジエの変貌の時代に従事していたのだ、ということが感じられます。

 なお、吉阪は前川、坂倉とともに東京上野の国立西洋美術館(1959年)の師の基本設計を受けた実施設計・工事監理に、誰よりも強く関わっています。また、一方で吉阪は「住宅は住むための機械である」との有名なフレーズを記した師の初期の主著「建築をめざして」(1923年)を翻訳するなど、住宅設計にも強い関心を示しました。コルビュジエただ一度の来日(1955年11月)の際、吉阪は師を自邸に招き、師からお褒めの言葉を賜ったエピソードが残っているなど、文字通り「住宅は住むための機械である」の実践に努めた弟子でもあります。 さて、ル・コルビュジエの弟子たちを簡単に紹介してきました。 では、師のル・コルビュジエをもっと知りたいと考える方には…  横浜市内にル・コルビュジエの絵画や彫刻を収集する施設 「大成建設ギャルリー・タイセイ」があります。 「大成建設ギャルリー・タイセイ」は1992年の設立以来、東京・新宿で開設されていましたが、2009年11月から横浜市中区長者町に移転し、以来活動を続けています。また、同ギャラリーの学芸員の林美佐さんは、様々な企画展のテキストやコルビュジエ関連図書を執筆しているコルビュジエ研究の第一人者であることも特筆すべきポイント。ギャルリーの場所等については以下を参照のうえお訪ねください。
ギャルリー・タイセイ http://www.taisei.co.jp/galerie/
(編集部・小笠原 泉)

紅葉坂の前川國男作品群

 桜木町の駅を降りて山の手の方へ紅葉坂を登ると、登り切るあたりで右前方に県立青少年センターの印象的なフォルムが目に飛び込んできます。さらに、青少年センターに近づくと音楽堂と図書館が右手に見えてきます。すべて建築家前川國男の設計による建築群です。 音楽堂と図書館は、坂倉準三、丹下健三、前川國男三者の指名コンペにより前川案で1954年竣工し、日本建築学会賞を受賞しています。 音楽堂、図書館をずらした配置として、そこに生まれる表の空間をパーキング、裏の空間をホワイエと閲覧室が面する庭としています。庭は、現在では植物が鬱蒼としていますが、竣工時は、敷地裏手の掃部山公園を借景とした明るい空間だったようです。また、音楽堂、図書館ともに中央に耐力壁を集中させ、外周部を大きなサッシとして明るく開放的にしています。

  音楽堂のホール内装は木製で、その音響は「東洋一の響き」と言われ、これまでに多くの音楽家のコンサートが開催されています。また、音楽堂、図書館は「赤いハンカチ」(1964年)、「夢は夜ひらく」(1967年)などの映画のロケ地にもなっています。
1962年に竣工した青少年センターは、質量感のある打放しコンクリートが印象的ですが、ホール部の外壁等に打込みタイルが使われています。 日本相互銀行砂町支店(1961年 現存せず)で最初に試みられ、その後数多くの作品に用いられていますが、 青少年センターは、その初期の作品となります。また、横浜市教育センター(1974年)、 横浜市中区役所(1983年)など横浜市内の作品のほか、国立西洋美術館(設計コルビュジェ)の新館(1979年)などでも用いられており、 改良を重ねた様々な試みを見ることができます。
(編集部・角 桂介)

シルクセンター国際貿易観光会館

 ■1階ホール碑文
 シルクセンターは、1959年(昭和34年)に竣工しました。当館は、近代建築を代表するフランスの建築家ル・コルビジェのもとで学んだ坂倉準三氏によって設計され、当時のモダニズムを徹底的に追求した最先端の建築物として、横浜開港当時「英一番館」があったこの地に建設されました。この建物の特色は、近代建築の五つの原則である、自由な平面、自由な立面、水平連続窓、ピロティ、屋上庭園を取り入れ自由な造形と日本的で端正な設計思想が体現されていることにあります。1959年には第1回建築業協会賞(BCS賞)を受賞しましたが、今日では我が国の数少ない近代建築の象徴的な建築物として、歴史的にも大変貴重で価値のある建物になっています。[1階ホールの碑文より]

■設計者選定
S30(1955)元外交官の内山岩太郎神奈川県知事・平沼亮三横浜市長等、国・県・市・生糸関係業界により英一番館のある山下町一番地に「横浜港開港100年記念事業」として計画された。 S32(1957)競技設計方式により「坂倉準三建築研究所(現・坂倉建築研究所)」が選定された。
■建築概要
SRC造・地上8階塔屋3階地下1階
延床24,878㎡
5F-8Fシルクホテル、
1-4F貸事務所、
中1F・BF貸店舗
■建設から現在までの経緯
S34(1959)2.28竣工・鹿島建設㈱、神奈川県建築賞
S35(1960)第1回BCS賞、照明普及賞を受賞
S57(1982)ホテル閉鎖
H10(1998)4月SOHO創業支援センターとなる。
現在 2-3Fシルク博物館,1-BF貸店舗,2-5F貸事務所、6-10FSOHOの事務所。階数が竣工時と異なるのは中 2階が、階数に算入されたためと思われる。
(編集部・三宅信夫)

神奈川県立近代美術館鎌倉館

 今年1月31日に閉館した県立近代美術館鎌倉館は、コルビュジエの直弟子である坂倉準三の作品として、多くの人々に親しまれてきました。 昭和26年(1951)に竣工したこの美術館は、鶴岡八幡宮の境内という立地で、緑に囲まれ、源平池のほとりに戦後モダニズム建築の代表ともいえるその姿を、鎌倉の歴史的風土のなかに65年間佇み続けてきました。 1階のピロティ、水平を強調した立面、正面の鉄骨柱の内側の赤い塗装などコルビュジエの影響が色濃くみられるこの建物も八幡宮との借地契約が終了したことで美術館としてはその機能を終え、作品は全て他へ移されてしまいました。中庭のイサム・ノグチの彫刻(こけし)はここにあってこそと思える作品でした。 戦後の資材不足の中、大変な苦労を乗り越えて完成したこの建物は、1階の大谷石と2階外壁のアスベストボードが対照的で、日本古来の素材と新しい素材を組み合わせた外観が特徴です。決して贅沢な素材を使った建物ではありませんが、1999年にはDOCOMOMOが選定する日本の近代建築20選に選ばれ、国際的にも評価されています。

 長い間には雨漏りや設備の問題で改修が必要となり、昭和41年に大改修をしています。外観に少し変更が生じましたが、現在までその姿を保ち、モダニズム建築の再評価へとつながっています。
  筆者も若い頃から何度も訪れた美術館ですが、高橋由一の『鮭』、岸田劉生の『麗子像』など本物を見て育ったことは心の宝物です。美術鑑賞の後、2階喫茶室のテラスでのティータイムは至福のひとときでした。 「鎌倉からはじまった」と題する最後の展覧会は、65年の美術館活動を3つの時代に分けて所蔵作品を展示したものでしたが、別れを惜しむ多くの来館者で賑わいました。 美術館としての使命を終えたあとも何らかの形で使われ続ける建物であってほしいと願わずにはいられません。


注)
DOCOMOMO:Documentation and conservation of buildings, sites and neighborhoods of the modern movement
(編集部・佐藤里紗)

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支部委員会活動報告

横浜支部納涼会
横浜支部 阿見 久美

 8月26日(金)、横浜駅近くの“横浜アートグレイス・ポートサイドヴィラ”にて神奈川県建築士会横浜支部の納涼会が開催されました。台風の影 響から雨の心配もありましたが、天気にも恵まれ、企画厚生委員会の皆様のご尽力により、ウェディングパーティーが執り行われるきらびやかな会場の屋 外ガーデンにおいて、華やかな雰囲気の中にも親しみのある会となりました。 ガーデンプールの水面に移る光と横浜の夜景をバックに過ごすひと時は大変優雅で、夏の疲れも吹き飛ぶくらいの美しさ。お酒はもちろん、目の前で調 理していただく天ぷらやローストビーフは格別で、結婚式場ならではの美しい料理の数々に舌鼓を打ちました。 様々なビュッフェ料理を楽しんだ後、デザートの一品で目を引いたのは粉雪のように繊細なかき氷。男性の皆さんも列を作り、そのきめ細かく柔らかい 氷と甘い口どけに大変満足されているご様子でした。ゆったりと優雅な時間が流れ、非日常のひと時を楽しむ機会となりました。会員同士が直接会って話す機会は大変貴重なもの だと感じます。このような機会を設けてくださった企画厚生委員会の皆様に深く感謝申し上げます。

相模原支部交流会  毎年夏恒例のバーベキュー大会
相模原支部 有泉 ひとみ

 8月27日(土)今年も昨年同様、地元の花火大会とバーベキューが重なってしまい、また、台風の影響で天候が不安定な中でしたが、大人31人子ども5人という多くの方に参加頂きました。 最初の盛り上がり(せっせとお肉を食べている間)は、お天気もなんとかもち、恒例の邦楽演奏会 は、青山さんと曽根さんの尺八に、神村さんがギターで入り、素晴らしい音色でした。それと、子ども 達のスイカ割りは、年を重ねる事に熟練したせいか、今年は、命中率が高く、雨が降る前に楽しく終わりました。 今年は、肉の量を質に変え、ほっぺが落ちそうなお肉を青年委員会の奈良さんに調達してもらいました。また、横須賀支部の山田さんによる試作品の料 理、これが物凄く美味しくて、美味しくて。毎年、接待と雑用に追われ、実はあまり食べられなかったのですが、今年はしっかり頂きました。 相模原支部だけでなく、他支部・他団体の方の参加もあり、色々な意味での交流の場となりました。 ご参加、ご協力頂いた皆様、ありがとうございました。まだご参加頂いていない皆様、是非、来年は、お気軽にご参加ください。お待ちしています。

川崎支部 同好会活動始めました。
川崎支部 事業部会

  川崎支部では同好会活動を今年の3月から始めましたのでその内容を紹介させていただきます。立ち上げたのは下記の8つの同好会です。支部会員にア ンケートを募り、希望の多かったものを選定しました。
1.建物探訪・ウォーキング
2.旅・山歩き
3.グルメ・料理
4.ボーリング
5.テニス
6.陶芸
7.伝統芸能
8.地域貢献
第1回グルメ・料理同好会:5月13日ホテルエディット横濱にて開催。みんなで料理を作り、美味しいお酒、ホテル料理で大満足。 伝統芸能同好会:すでに2回開催、第3回は10月24日に開催します。気軽に楽しめます。(本号到着時は開催済み) 第1回ボーリング同好会兼残暑払い:9月1日に川崎グランドボール及びキリン横浜ビアビレッジにて開催。ボーリングでは支部長・副支部長が本気を出し優勝・準優勝を独占。残暑払いはおいしい生ビール・肉をたくさんいただきました。 いつでもだれでも気軽に参加できる同好会として活動しております。講習会や見学会などとはまた違った、共通の趣味を通じての交流の場として、また 皆様の息抜きの場としてご参加をお待ちしております。参加希望の同好会があれば、メールでお知らせく ださい。開催案内をメールで発信します。また、希望がなくても全ての同好会に参加可能です。案内は支部メールマガジンで発信します。他支部の方も歓 迎します。支部HP、facebookもご覧ください。

湘南支部・青年委員会共催「けんちくラーニングモア」 開催を通じて。
青年委員会 古水 真弓

 けんちくラーニングモアに参加させて頂いたのは今回が3回目だったのですが、教科書には載ってい ない事例などわかりやすくお話ししていただき、とても理解しやすかったので、この勉強会の開催を楽しみにしていました。 今回のテーマは、小規模建築物の構造について、90分間の講義でしたが、話に集中していると時間が経つのがとても早く感じました。実例のお話しで、 ピアノの振動やたわみについての検討や、壁バランスの検討などは、実際の業務でよく出てくる内容でしたので、特に勉強になりました。 また、リフォームも増えていく中で、柱の移設の際の欠き込みのお話しもあり、その物件ごとに良い判断ができるよう熟知しなければと改めて感じました。 まだ、建築士会に入会して間もないですが、このような勉強会にご一緒させてもらい、先輩方の事例を共有していただける事を嬉しく思っております。 今後もこのような勉強会に参加させて頂きたいので、宜しくお願い致します。【平成28年9月14日開催】

福利厚生委員会 バスハイク2016秋
(熱海~伊東~韮山行)に参加して
茶谷 亜矢

 9月3日(土)、万障繰り合わせてのバスハイク。前日までの追い込みにバスでたんまり睡眠をとりつつバス内では湘南サーファーを横目にバス内で自己紹介タイム。だんだん頭がはっきりしてきたころ、我々一行を乗せたバスはまず熱海の「起雲閣」に横付けしたのでした。 ムクリ屋根の門を潜り、いったん建物に入ってからの広い庭園を見せる趣向。 左官壁、手作りの焼タイル、屋根瓦、欄間全体の螺鈿造作、こだわりの石積み。硝子天井のサンルーム、 温泉浴場の木製タイル床。文化財級の職人が手間のかかる作業を、ふんだんに、資産家の邸宅の違いを見せつけられました。 耐震の為の格子の壁の工夫を堂々と見せ、建物一部にギャラリーがあり音楽サークルの声も聴こえるという今日。 明治~大正期の地元の名士・政治家が受け継いできて現在に至る系譜を感じました。 (ここをロケ地とした映画(『雪夫人絵図』)があるらしい。かの地で上映希望。(DVD捜索は難航中))

 次は伊東の木造3階建旅館「東海館」。向かいの鰻屋の匂いに負けそうになりつつ敷居を跨ぎ、一般の観光客と区別され代表の説明を有難く傾聴。個々の宿泊 室に庇付玄関がこだわり。黒船や開港時の横須賀との関連性の深い資料も展示され、時代をワープ、期待してなかった屋根の上の望楼に上がり、天守閣気分も味わえました。現法的には大丈夫なのかと邪推しながらも、時間が許せば温泉にも入りたかったなとの呟きも聞こえてきました。 お昼は懐かしい「やっぱり決めた~」(昔のTVCM)と誰かしら歌いだすサンハトヤにて昼食。皆さんとのみ昼間の一杯も愉しいひと時に。 最後、伊豆は明治期近代日本の世界遺産「韮山反射炉」。事前の写真から、漠然と空に聳える塔のようなものをイメージしてしまっておりましたが、実際は15.6m。現地で些か拍子抜けしていた直後に黒船地元ボランティアさんの等身大のまくしたてるような熱い語りに洗礼を受けました。当時先見の目があったわれらがヒーロー代官!という地元愛に感銘。きわめて短期間に集中講義を受け痺れた?後、充実した土産屋をのんびりと何周もし、ついでにアイスを奢ってもらい気が付くと原稿を書く羽目になり、更についでに折り紙建築作ってみました(簡単Ver.)。
想い出の疑似(2次?)体験としてご笑味下さい。

技術支援委員会

◆委員長から一言◆   (村島 正章)

 各部会では見学会前後での予習復習会や部会員が交代で講師を務める勉強会、そして部会員による講習会実施。
より一層充実した部会を運営しています。ぜひ皆さんも参加して知見を高め、業務にも役立てて下さい。

■福祉部会 (小寺 亮)

 平成28年9月10日、第1回見学会~サービス付き高齢者向け住宅~「ココファン横浜鶴見」に参加しました。 これに先立つ8月18日に事前勉強会がありました。略称「サ高住」は、高齢者世帯が安心できる住まいの供給を目指して平成23年に登場しました。行政による登録、面積及び設備要件、バリアフリー化の義務付けがありますが、提供すべきサービスは安否確認と生活相談のみで、その他は事業者に委ねられています。このため、事業者によって提供されるサービスは千差万別で、利用者の選択肢が多くなる一方、費用も含め自身のニーズを正しく見極める必要があります。また、戸数は急増しても制度が目指すものと異なる実態があるようです。以上の予備知識を得て見学に臨みます。当日は、運営事業者である、(株)学研ココファンの斉藤所長さんに概要説明と施設の案内を頂きました。

この施設は、横浜市が整備する「よこはま多世代・地域交流型住宅」のモデル第一号で、「サ高住」の介護型は低層階に、自立型は一般世帯向け賃貸住宅と混在させて高層階に配置したのが特徴です。また建物内には、デイサービス、診療所、調剤薬局、コンビニ等が入居し、交流スペースは地域コミュニティ活動の拠点として一般開放や会議室等の貸出しをしており、高齢者が施設内外の多世代と交流しながら日常生活を営むことができる環境が用意されています。 質疑応答は、ビジネスモデルとしての課題や入居者の利用状況以外に、利用料の内訳や具体的なサービスの内容など「いずれは我がこと」的なものも含め大変活発に行われ、斉藤所長には真摯かつ丁寧にご回答いただき一同感謝いたしました。

■木造塾部会 (角 栄子)

 今年度の木造塾は、<伝統的構法を支える人々  ~敢えて伝統的な構法・素材に挑む~> を年間テーマに、設計者、木材生産者、左官職人、それぞれ40代前後の若い実践者にお話を伺います。 その第1回目の講習会を8月20日(土)に波止場会館大会議室にて実施致しました。タイトルは「実務者の為の伝統的構法の構造 ~明日実践するヒントとは?~」。講師は(株)悟工房の山中信悟さん。当日の参加者は52名でした。木造建築物の構造検討についてはある一定の規模までは建築士の裁量にゆだねられています。建築基準法という最低の基準を満たしながら自由な発想で建築を考えていくにはどのような検討方法があるのでしょうか、今回は伝統的構法に絞って話して頂きました。講習会では「伝統的構法」の定義を「天然乾燥材+手刻み+貫の採用+架構形式の内容を持つ建築」として、その構造検討について3つの方法を解説頂きました。まず、4号建築物としての検討(その1):壁量計算、偏心率、N値計算によるもの、横架材については許容応力度計算で検討してありました。次に4号建築物としての検討(その2):(その1)と同様ですが、一部、合板等不使用及び設計者判断による試験値を採用するもの。

 そして、第3の方法として限界耐力計算(JSCA関西方式)を用いる検討方法について説明されました。 それぞれに実例を挙げ多くの写真を用いて建物の内容も詳しく紹介頂きました。実例ごとに「設計のルール」として構造の考え方を再度整理され、尚一層理解の助けとなりました。 第2回目は10月15日(土)に実施、この後は、第3回目の講習会を平成29年2月4日(土)に計画しております。 左官職人の久住有生さんを講師にお迎えします。 伝統的な仕事だけでなく、オリジナルのアイディアや技術で活躍されています。 ご自身の関わられた事例を中心にお話頂く予定です。12月号掲示板にて募集開始です。ご参加お待ちしています。

CPD単位を見てみましょう。
CPD・専攻建築士制度委員会    委員長 折笠 幸男

 ■ご自分のCPD単位を見てみましょう。
【CPD単位の確認手順】
1. 神奈川県建築士会のホームページを開いてください。①

2. TOPページの左側中央近くの右のバナーをクリック。②




3. 「▶▶CPD情報システム
(参加者用)http://jaeic-cpd.JP/ をクリック
(直接入力も可能)








5.ログインで単位の確認ページが表示されます。



■ 専攻建築士
     新規申請・登録更新について

新規登録:直近一年間で12単位、
実績3件以上 登録更新:5年間60単位以上で、
「専攻建築士」の登録更新が可能です。
[対象者:前回2012年の登録の方及び、
これまで登録更新をしなかった方。]  

迷惑メールへの対策

情報広報委員会 田中 敦史

 朝仕事場でPC起動後のメールチェックが毎日の日課と言う方はおそらく私だけでは無いと思います。全てのメールの内、多い時は半数程度が何らかの迷惑メールと言う事もしばしば。この迷惑メールとは、事前に許可していない広告メールで大量かつ無差別に送信されるもので、中にはワンクリック詐欺を目的としたサイトへの誘導や、ウィルスを添付したもの等もあり、『スパムメール』とか『ジャンクメール』等とも呼ばれます。この手のメールは、例えば通販サイト等で入力したアドレスが流出したものを入手したり、ホームページで公開しているアドレスに直接送信したり、あるいは適当なアドレスを自動的に作成して一斉送信したり等様々な手法で送られてきます。もちろん人力ではなく、ソフトによって自動で大量に取得、送信するため必ずしも特定の個人を狙ったものとは言えません。そのため完全に遮断する事は不可能ですが、いくつかの対策を施す事は可能です。まず覚えのないメールや添付ファイルは絶対に開かない事です。メールソフトにもよりますが、 プレビュー機能を停止したり、HTML形式のメールをテキスト形式で受信する等の設定を行うだけでもリスクを低減する事ができます。またPCのOSを常に最新の状態に保つ事やセキュリティソフト導入も有効です。 セキュリティソフトではウィルスメールを受信時に駆除したり、迷惑メールは特定のフォルダに振り分けたり等して、他のメールと分類してくれる場合もあります。また誤って危険なサイトへのリンクを押してしまった場合に、そのサイトが開く前に警告する等して注意を促してくれる場合もあります。これらはあくまでもローカル環境での自己防衛方法ですが、皆さんが契約をしているプロバイダのメール機能の中には、ウィルスやスパムメールをサーバー上で削除するような設定ができるサービスが提供されている場合もあり、これを利用し不要なメールの受信を拒否する事も可能です。ただしこの場合は本来必要なメールまで削除されてしまう可能性もあるので、十分な注意が必要です。 このようにできる対策は色々とあるのですが、利用者のPC環境が様々で、一様にどうする事がベストなのかと言う事は言えません。
まずは原則をしっかりと守る事で最低限の対策とする事から始めてみましょう。

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※本誌の掲載記事は会員の皆様の自由な発言に基づいて掲載しております。
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