WES News 30 2002年 3月
女性委員会設立10周年記念
リレートークを終えて
委員長・大川友理枝
平成14年2月23日(土)かながわ県民センター2階ホールに於いて「女性委員会設立10周年記念リレートーク」を開催しました。 女性委員会として各部会ごとに活動していくなかで、「高齢者にとって安全・安心・快適な住まいや地域環境が、 次世代を担う子どもたちにとって、魅力的で楽しいと写っているだろうか?」という疑問が生じました。設立10周年のこの機会に、 リレートークでそれぞれの部会から疑問を投げかけ、お招きした明治大学の園田眞理子先生・東京理科大学の大月敏雄先生に、 これを受けて講演をしていただきました。その後、女性委員も加わり意見交換をしました。内容につきましては後日、 報告書として冊子にまとめ、多数の方々に、読んでいただけるようにしたいと思っています。 午後からは「第13回女性建築士との集い」として東急ホテルに於いて懇親会を開催しました。子どもの生活環境分科会からの活動報告、 新しい分科会の立ち上げ準備、本日の感想など、和やかな楽しい懇親会になりました。 当日は午前10時からという早い時間にもかかわらず、本会をはじめ皆さまにご出席いただきありがとうございました。 今後とも女性委員会の活動にご理解とご協力をお願いいたします。
「なが~く暮らせる住まい」を目指す
角 栄子
リレートークの中で、大月先生は長く住み続けられている集合住宅がどのように変遷してきたのか、なぜ残ってきたのか、 主に同潤会柳島アパートを例にあげて、とても楽しい語り口でご紹介くださいました。 住人達の手で、じんわりと変化してきた住宅。一見秩序を失った建物に見えますが、そのコミュニティの中で成立しているルールに則って 増築を重ねていて、一人一人の生活をじっくり聞いてみると実にユニークな面白味のあるものでした。また、戦前から残っている建物は、 どこかに気の効いたデザインがありその建物に強い愛着を持つ人の存在があるようでした。 後半で、園田先生が委員からの質問に答えて、「今ある建物のストックを生かし、人々のニーズに合った建築を実現するためには、 現在の枠組みにとらわれずに“知恵”を出す」と話されたのが強く印象に残り、自由な可能性に皆、勇気付けられたようです。 私達が一つ一つの要求にきちんと向き合い、良いデザインのものを創っていくことが、「なが~く暮らせる住まい、まち」 を目指すことにつながると感じられた有意義な時間でした。
女性建築士との集いに参加して
山嵜 雅子
普段仕事している中で周囲は男性の方が多く、女性の同業者に会う機会はめったにありません。 もっといろんな方と知り合いたいと思い、今回女性建築士との集いに参加してみました。出席してみますと思った以上に 女性建築士の方が多いことに驚きました。年齢も多様で、 中には子育てをしながら仕事をしている方や、設計の仕事のほかに教鞭をとっている方などいらして、 とてもバイタリティーのある方たちの中で私も充電させていただきました。 私自身これまであまり参加していなかったので恐縮ですが、 外に出て、人に会い、いろいろなお話を聴くことで、これまで画面(昔は製図台でしたが・・)の前でしかなかった世界が広がっていくように 思います。これからもよろしくお願いいたします。
福祉部会の活動から
バリアフリー住宅研究会
第4回勉強会「住宅改造の実際」12/8
改造事例を通して勉強会・浅見 美穂
脳梗塞による右半身マヒの方が、退院に合わせて自宅を改造された事例を、提案図とスライドで紹介しました。主な改造内容は、 トイレを隣の部屋を取り込んで約3帖のスペースとし、出入り口を引戸にする、便器の取替と洗面器の設置。 手すりや背もたれ付きトイレガード取付。茶の間の畳敷きをフローリング貼りにし、廊下との段差を解消し、 引き違い戸襖は引き分け吊り戸に変更。道路から茶の間までのアプローチ部分に、スロープと土間コン打設。浴室の洗い場にすのこを敷き、 手すりを取付け。これらの改造により、退院したご本人は車いすでの移動がしやすくなり、家族との暮らしの中で精神的にも落ち着かれ、 介助も楽になった例です。よくある改造箇所ですが、ご本人の症状や体格、介助者の関わり方によって微妙に改造内容は違ってくることや、 見落としがちな点について説明させていただきました。
第5回勉強会「住宅改造ワークショップ」2/9
これまでの勉強会を基礎とし、ワークショップを行いました。(参加者17名)グループに分かれ、演習事例の検討、まとめ、 提案図(OHP)作成をし、発表しました。アドバイザーには逗子市社会福祉協議会の山口氏と神奈川県リハビリテーション病院脳血管センターの PT橋崎氏をお迎えしました。(雨森)
地域相談研究会
地域相談を担当して・今井 淳子
シルバーリフォームの勉強会等に参加していたことが縁で、地域の相談員になって2年半。最初は地域の体制も整わず、 電話予約を受けただけのお宅へ、社協の担当者と伺い、お話を聞き、間取りを写し、自立のためにはどうしたらいいのかの提案をし、 時には福祉用具の説明もしてきた。 現在は、事前に担当者が基本的な話を聞き、間取り図も入手してくれている。現地相談がない日には、過去の相談のその後の確認に 行くようにしているが、大掛かりな改造でなくても、「トイレに行くのが楽になった」とか「一人でできるようになった」等と報告されると、 担当者と二人で役に立てたことを喜び勉強にもなる。高齢者や障害者の住宅改造は、建築だけでなく医療、 福祉の専門家からも提案を出し合うことで、良い改造ができると思っているが、その必要性がなかなか理解されないのが残念である。
窓口相談と現地相談を通して・桑山 直子
昨年から神奈川県福祉プラザと寒川町で住宅改造相談のお手伝いをさせて頂く事になりました。 福祉プラザ内には各種の福祉機器や介護用品の展示、新製品の情報も多く、住宅相談だけではなく、私にとって勉強の場にもなりました。 地域相談は現地相談になりますが両方とも福祉や医療関係の方々とのチーム相談で、それぞれの専門的なアドバイスが一つの提案としてまとまり、 提案図に表されます。そこには相談対象者の要望だけではなく、対象者やその家族が気付かない部分にも一歩踏み込んで提案する事の大切さを 感じました。竣工後のフォロー時の対象者の笑顔、建築以外の専門分野の方々からの提案など、この一年の経験を財産としてこれからも 良い提案をしていきたいと思います。
福祉のまちづくり研究会
高齢になっても障害を持っても住み慣れた地域で自立し安心して生活するためにはどのような“まち”であるべきかを探り、
問題点を調査しています。また、横浜市福祉局福祉のまちづくり課が主催する横浜市職員との合同で行われる「福祉のまちづくり研修会」や
「人にやさしいまち歩き」ワークショップに参加するなどして、障害者を含む様々な立場の方との交流により、“バリア”についての
理解を深めてきました。13年度からは「福祉のまちづくり研修会」は、福祉のまちづくり課との共催ということで、お手伝いをしてきました。
14年度も下記のスケジュールで行う予定です。ぜひ、高齢者体験グッズや、車いすでの路上体験を行ってみてはいかがでしょうか。
平成14年度福祉のまちづくり研修会
-横浜市職員との合同研修会-
会 場 横浜市研修センター
研究部会の活動から
子どもの生活環境分科会
子どもの生活環境を考える~地域の中で子どもたちの生活空間はどう変わっていくのか~のタイトルで今年も小冊子をまとめることができました。内容は昨年 8月に行った7地域での聞き取り調査の結果報告と考察です。この調査により、地域での子どもたちの遊びと、子どもたちを取り巻く環境の変化、 世代ごとの考え方の違いをうかがい知ることができましたが、今後さらに地域による違いを分析したいと思っています。 また、7月12日の全国女性建築士連絡協議会の全体会で、単位士会活動報告として「子どもの居場所はどこにあるのか」のテーマで 発表することになりました。2月のリレートークで報告した内容に肉付けをし、できるだけビジュアル化もして臨みたいと考えています。 旅先からのお便りのような心許なさも禁じ得ませんが、この機会に、多くの人が子どもの生活環境に興味を持ってくだされば・・・・と 楽しみにしています。(浅見)
企画部会からお知らせ
仮 称 実 践 住 ま い 塾
「住宅に関する実践に役立つ勉強会をしたい」という声が多数あがり、アンケート調査の結果を踏まえて、
勉強会の内容、開催回数、日時、場所等の検討を致しました。時間は18時から20時位、開催場所は県民センターです。
見学会を行う場合には土曜日も利用します。日程とテーマは下記を予定しています。
第1回 5月17日(金)自然素材
第2回 7月19日(金)自然素材
第3回 9月20日(金)エコハウス
第4回 11月15日(金)エコハウス
第5回 1月17日(金)木構造
第6回 3月14日(金)木構造
開催のお知らせは最終アンケート提出者にはメールまたはファクスで連絡。その他の広報は会誌「建築士」封筒の掲示板を利用します。
平成14年度全国女性建築士
連絡協議会へのお誘い
開催日時
平成14年7月12日(金)13:30より
13日(土)12:30まで
開催場所 女性と仕事の未来館ホール(東京)
テ ー マ さまざまな分野で活躍する女性建築士
WESフォーラム
建築士資格制度の勉強会しませんか?
田隝 裕美
建築界は日本建築士会連合会制度委員会が中心となり、建築士資格制度の話で盛り上がってきているようです。 10数年前にもこうした話題がありましたが、今回はその時とはちょっと違うなと感じています。昨年度の宮城大会のフォーラムでも 取り上げられていたようですし、「建築士」等の様々な情報媒体でもこの「建築士資格制度」が目に止まるようになりました。 そんなこともあり、昨年12月と、2月に行われた本会の青年委員会主催の建築士制度勉強会に参加してみました。 話がなかなか見えにくかったのですが、どうも《専攻建築士制度》、《継続的能力開発制度》、《APECエンジニア》の3点から 議論されているようです。そこで女性委員会でも6月27日(木)県民センターで、「建築士法と新たな建築士資格制度」について 関係者をお招きし勉強会を開催する予定です。
コンピュータと私・佐藤 陽子
今から約30年前、コンピュータ教室に通ったことがあります。コンピュータ教室と言ってもコンピュータは一台もなく、 黒板と机と椅子があるだけ。当時は電子計算機といったほうが通じる時代、そこで二進法とかソフトウェア等々習い、 簡単なプログラムを作り、工業大学にある大きなコンピュータに通して、通ったとか通らなかったと一喜一憂したものです。 その後結婚と共にコンピュータのことはすっかり忘れてしまった10年後、パート先の会社に小型化したコンピュータがあり、 分厚いソフトの解説書と格闘しました。それも次女誕生と共に忘れ去り、その後12年、いよいよ図面はCADで描こうと大金投入を決意させたのは、 30年前のコンピュータ教室が原点かもしれません。当時買った本に「多種の家庭電気製品と同じように家庭に常備されるような時代がくるのも 必ずしも夢物語とも言えません」とあります。
支 部 だ よ り
横須賀支部
士会恒例のスキーバス同好会(横須賀支部開催)も19名の参加を得て無事終了しました。 今年は支部創立50周年です。本部との合同という形で式典、記念誌共に参加する予定です。(江藤)
川崎支部
2月22日(金)日本民家園見学会、茅葺き屋根の葺き替えに合わせての日程でした。葺き替えを見ることなどめったにないことでした。全部の建物を見ることは出来ませんでしたが、それぞれの特徴を比較しながら解説していただけたので、興味深く見ることができました。とても暖かい日だったのも幸いでした。 4月2日の役員会で平成14年度の事業や支部総会の日程等が決まります。(鈴木)
中支部
3月29日(金)役員会予定。 今年は中支部創立50周年です。(中田)
小田原地方支部
次号の支部だよりで、行事予定などをお知らせします。(栁川)
県庁職域支部
2つの技術研修を行います。
1.「横浜の近代建築物」
日時:4月18日午後2時から
場所:神奈川自治会館
講演:横浜国大 吉田鋼市教授
現地見学会:元県庁山下町分庁舎倉庫(モリソン商会)他
2.「屋上緑化事例見学」
本牧山頂公園ほか3事例 4月23日午前10時から
☆「横浜の近代建築物」については、支部以外の方も参加できます。(中村)
湘南支部
恒例行事の日程が決まりました。
5/18(土)が藤沢でつり大会、
6/8(土)茅ヶ崎・忠右ヱ門にて地引網大会を開催します。お子さん連れでいかがですか。詳細は士会会報5月号をご覧下さい。
支部総会は藤沢産業センターで5/24(金)18時からです。(桑山)
県北支部
行事予定は例年通り、4月に相模原市市民桜祭りに出展、5月に総会、7月に研修旅行の予定です。 県北支部も技術研修会・研修旅行とか様々企画するのですが、女性も含めて参加者が少ないのが悩みです。 皆様の支部ではどのようにしていますか。(熊谷)
県央支部
3月29日に役員会があります。14年度の事業は次号でお知らせします。(田辺)
横浜支部
6月22日(土)パシフィコ横浜にて支部総会、講演会、懇親会を行います。講演会は韓国在住日本生まれ女性エッセイストによる 元気になる話を聞くことになっています。ワールドカップ真最中、日韓交流ということもあり企画しました。是非ご参加ください(玉野)