WES News 31 2002年 7月
平成14年全国女性建築士連絡協議会
参加の報告・大川友理枝
今年の全建女は、平成12年に開館した「女性と仕事の未来館」との共催で行われました。7月12・13の両日、 全国から300人を超える女性建築士が東京に集まりました。全体会は未来館で5士会から「地域を動かす女性建築士の活動」 の発表があり、神奈川県士会からも、子ども分科会が発表しました。パネルディスカッションでは、現在さまざまな分野で 活躍されている建築を担う女性5人の仕事の紹介や、家庭との両立について話し合われました。 翌13日の分科会は、建築会館で8分科会に分かれて討論が行われ、神奈川からも16人がそれぞれの分科会に参加しました (4面に分科会参加報告)。また、12日の夜はブロックごとの懇親会が開催され、関東ブロックも85名の方達と交流を深めました。 1年に1度、他県の女性委員会の活動を知るのに良い機会です。平成15年は7月11・12日 神戸で開催の予定です。皆さんも積極的にご参加ください。
子どもの居場所はどこにあるのか
浅見 美穂(子どもの生活環境分科会)
全国女性建築士連絡協議会の全体会のテーマは「地域を動かす女性建築士の活動」でした。この中で神奈川士会の代表として、 関口さんと浅見とで発表してきました。「子どもの居場所はどこにあるのか」~身近な地域の中で~ トップバッターでしたが、 「OHPの映りはどうかしら?時間配分は?」など、気にかけながらも無事終了することができました。「落ち着いていたよ」 「わかりやすかった」「また違うところでも発表すれば?」等々、皆さんの暖かいお言葉ありがとうございます。 3月に発表する事が決まってから、今までの脈略のない行き当たりばったりの調査結果の中身を見直し、なんとか道筋を構築し、 ビジュアル化まで漕ぎ着けられたことは、子ども分科会のメンバー、一人一人の熱意の結果です。お疲れさまでした。 また、このような機会を与えて下さり、折に触れ、私たちの活動をあと押しして下さった皆さんに感謝したいと思います。 この勉強会を立ち上げたとき、保育園に通っていた次男も、早いもので中学2年生です。PTA、子供会役員、 地域スポーツクラブとの関わりなど、私自身の子育ての体験がすべて勉強会の題材でした。この辺で一区切りかなと思っていたところ、 13日の分科会の中で、お孫さんの通っている小学校に、住教育の出前授業をしている先輩女性建築士のお話に触れ、 「まだまだ、やめられないな」と思いました。ここまでは暗中模索でしたが、基礎ができたのでは…と思います。 自分たちだけの勉強や考察にとどまらず、もっと外へ発信していきませんか。
福祉部会の活動から
バリアフリー住宅研究会
平成14年度勉強会日程
第1回 5月11日(土)「高齢者・障害者のための住宅改造相談の受け方」
講師:社会福祉士 柴田幸子氏
内容:相談を受ける時の心構え、技術、方法等
第2回 7月6日(土)「高齢者・障害者の身体機能と住宅改造」
講師:作業療法士 鈴木郁子氏
第3回 9月14日(土)会場:かながわ県民センター604号室
内容:「福祉用具のかかわりと住宅改造」
講師:かながわともしびセンター職員
第4回 11月9日(土)「介護支援専門員による住宅改造の考え方」
講師:介護支援専門員
第5回 平成15年1月11日(土)「住宅改造の実際(改造事例から)」
講師:住宅改造相談員
第6回 平成15年3月8日(土)「住宅改造ワークショップ」対象:第1回から第5回までのいずれかの勉強会に参加した方
地域相談研究会
地域相談を担当して・栁川 由美
最初は(社)かながわ住まい・まちづくり協会のシルバーリフォーム相談員として参加していたのですが、 秦野市の地域相談員になってから2年が過ぎました。 秦野市の住宅改修相談は秦野市社協の担当者と理学療法士(作業療法士)、建築士の3者で現地相談に訪問します。 場合によっては相談対象者のケアマネージャーも立会います。医療と福祉と建築の専門家がそれぞれ意見と提案を出し合い、 住みよい家の改造相談に取り組んでいます。 今年になってから過去に提案した方から改造してとても動きやすくなったので見に来てほしいと連絡があり、担当者と訪問しました。 実際に動いて使用してくださり、とても嬉しかったです。 相談の内容は身体状況、機能により相談内容が違うように提案も住宅の形態により変わります。医療、福祉、建築共に協力することが 大切だと思います。
福祉のまちづくり研究会
女性委員会では今年も、横浜市福祉局福祉のまちづくり課が主催する
横浜市職員と建築士の合同「福祉のまちづくり研修会」に
共催団体として参加します。この機会に高齢者疑似体験グッズを装着したり、車いすに乗って路上体験をしてみてはいかがでしょうか。
平成14年度福祉のまちづくり研修会
-横浜市職員との合同研修会-
第1回日程 平成14年11月20日(水)
第2回日程 平成14年11月22日(金)
会 場・横浜市研修センター
建築士法と建築士制度勉強会
さる6月27日(木)午後6時半より、かながわ県民センターにおいて「建築士法と建築士制度」について専攻建築士制度検討会議
(仮称)設置提案者である庄司博之さん(青年委員長)を講師に迎えて、勉強会を開催しました。女性会員をはじめ、
他委員会の方や斎専務理事も参加され、下記のようなテーマで講師のお話を伺ったあと活発な意見交換がされました。
・ 建築士をめぐる社会環境の変化
・ 建築士及び建築士事務所の処分基準
・ 新たな建築資格制度のグランドデザイン
・ 建築士の継続能力開発制度案
企画部会の活動から
実践住まい塾 partⅠ 自然素材
なぜ自然素材か?と考えると、健康や環境に負担をかけない建材を使いたいという気持ちが見えてきました。 そこでまず、「自然素材」や「エコマテリアル」「シックハウス」などをテーマとした資料を集めることから始めました。
● 第1回勉強会 5月17日(金)
めぼしい材料のカタログもいくつか用意して、参加者に「この材料使ったことあるわよ。」とか 「これがいいらしい?」など自由にお話しいただきました。その中で、次の勉強会で講師に聞いてみたいことを上げていきました。 この日、「健康な住まいづくりのためのユーザーガイド」と「健康な住まいづくりのための設計施工ガイド」を、希望される方に用意しました。
● 第2回勉強会 7月19日(金)
仕上材料やシックハウスに詳しい永井香織さんに、講師をお願いしました。シックハウス問題が発生した背景から、 現在どの程度の対策ができるのか、どの部位に対策を講じるのが効果的かなどお話しいただきました。 また、シックハウス対策の事例紹介もありました。ある物件で施工に入る前に、選んだ仕上材料からのホルムアルデヒド、 VOC放散量の測定をし、材料を選定しなおし、各施工段階でも測定と分析をした-というものです。数値の裏づけがあり、明快な材料選定で、 「大手はこんなことができるのか…」とちょっとため息もついてしまいましたが、大変勉強になりました。(角 栄子)
WESフォーラム
全建女・高齢社会関連分科会にて
八重野みどり
初めての参加で、大変興味深く皆さんのお話を聞きました。 各県の活動報告によると住宅改修費として独自の助成金等を設定している自治体も多く、介護保険の上限20万円は少なすぎるというのが 個人レベルの意見ではなかったことを実感したのと同時に、金額が大きくなれば、悪質なものも増える可能性があるという現実に 身の引き締まる思いがしました。無知な設計者にならないための勉強は必要ですが、その上で当たり前のことながら、 利用者に喜んでもらえることを第一と考える謙虚な姿勢が、特に福祉の分野で必要なのだと改めて思いました。 今回、準備不足で自県の報告や問題提起が充分にできず、自立判定されても介護予防の立場から助成金が使えるなどの興味深い制度の紹介や、 勉強会の計画を聞くだけに終わらせてしまったことが少々残念です。私にとって、最初は亡き母の退院に備えて実家の改修を計画し 勉強するという個人的なことでした。それがいつのまにか高齢社会という大きな山を目の前にしています。分科会に参加された方をはじめ 多くの女性建築士の方々が苦労しながら登っていく後ろから、できる限りついて行きたいと思います。
平成14年度全国女性建築士連絡協議会
分 科 会 報 告
A.健康住宅関連
大阪士会と宮城士会から、シックハウスに関する実態調査の報告。参加者には、無垢材や左官材、自然系の塗料などにこだわって 設計や施工をし、現場で測定までしている方もいた。「自分達の手で一つ一つ試してみるしかない。」 その結果の蓄積と共有が必要だと感じた。(角 栄子)
B.環境共生関連
大阪士会から、一般ユーザー向け環境共生セミナーへの取り組みの発表。環境共生は衣食・を含めて「住まい方」に左右される。 これからの建築士は「建て方と「住まい方両方を提案していく必要があるのではないか?又、建築を学ぶ学生や子ども達への住教育についても、 熱い話し合いが続いた。(成田説子)
C.建築士制度と士会活動
建築士とは何なのか、資格制度自体の見直しや現在の建築教育制度などトータルに見直して新しい時代にあった社会的に 信頼を得られる資格として再構築する必要があるとの事から新しい建築士像論、建築士制度論が連合会を 中心に進められているようです。(黒田協子)
D.高齢社会関連
今後、在宅介護を考えた時、建築士として住宅にどのように関わっていけばよいか、高齢者が安全・安心で自立できるような住宅について 考えてみるという主旨の分科会。 群馬士会の方から高崎市のリフォームヘルパーについての活動報告の後、 全国の士会が関わっている介護保険制度の住宅改修について報告されました。(雨森隆子)
E.法制度関連
建築基準法の一部改正案が成立しました。めまぐるしい制度改正は、実務をする私達にとってはたいへんです。 シックハウス症候群は、既に健康被害を受けた人の存在が明確になっています。二大原因とされている有機化合物二種が 規制の対象となりましたが、二種の規制でいいのか、費用等課題や環境の話も出ました。(佐藤陽子)
F.歴史的建造物の保存と開発
宮城士会の眞山さんから港町気仙沼市での歴史的建造物を活かしたまちづくりの発表があり、高度な大工技術に支えられた珍しい 木造建築の紹介は大変興味深いものでした。また、前日発表の北九州市若松地区の活動の補足や各地の活動紹介があり活発に 情報交換がされました。(酒井凉子)
G.子供・住環境・まちづくり
福島駅前に市が建設予定の施設に高校生の生の声を生かそうとアンケート調査から始めて提言書のまとめまでした例や、 北海道で、総合学習の時間や家庭科の授業などに 「住教育」を生かしてもらおうと資料を作り実際にさまざまな形で 提供し授業を行っている小学校の文化祭で教室に製図室を作り、子供に作図を体験してもらった例子供の「理想の家」 絵画展が好評な例などが紹介された。(氷室敦子)
H.集まって住む
千葉士会よりコレクティブハウジング定着の可能性をテーマにした講習会活動について、 東京士会から(仮)かんかん森コレクティブハウスについての発表のあと、各士会から、各県の事情、関西と関東の個人室の必要な 広さの感覚の違い等意見が出ました。(大川友理枝)