WES News 34 2003年 7月

新 体 制 で ス タ ー ト

ごあいさつ
委員長・浅見 美穂

前委員長の大川友理枝さんのあとを受けて、女性委員会の委員長を引き受けさせて頂くことになりました。 平成4年冬のある土曜日の午後、6歳と3歳だった息子達を夫に託し、女性委員会の定例勉強会におずおずと参加した時のことを、 つい昨日のことのように思い出します。資格は取ったが幼子もいる、できる時間に仕事もしたいけど、一人設計事務所で視野は狭くなるばかり・・・。 そんな当時の私に、女性委員会は何か刺激の得られる場、同志に出会える所ではないかという期待がありました。それから早11年。 多くの諸先輩や仲間に支えられて、女性委員会の歩みと共に充実した士会活動を続けさせて頂きました。これまで歴代の3人の委員長が、 情熱を持って基礎固めをして下さった女性委員会の活動基盤は、福祉部会や子ども分科会、実践住まい塾の勉強会へと発展していき、 最近は男性の参加も多くなっています。神奈川県建築士会の平成15年度は、委員会再編成のための論議の最中ですが、 女性委員会としてはこの11年間の活動実績に自信を持って、次のステップへと広げていく姿勢で臨みたいと思います。 さらに他の委員会や支部との連携を持ちつつ、今まで以上に風通しの良い、11年前の私のような新米建築士でも気軽に参加し、 自分の興味あるテーマに楽しく取り組んでいける会となるよう、微力ですが努力していきたいと思っております。

福 祉 部 会

バリアフリー住宅研究会

バリアフリー住宅研究会では例年5~6回シリーズで、高齢者・障害者のための住宅改造にかかわる異業種の専門の方を講師に 迎えて勉強会を開催してまいりましたが、今年は回数を減らして行なうことになりました。11月に高齢者の身体機能について、 来年1月には福祉用具についての勉強会を開催する予定です。会場は例年どおりかながわ県民センターを予定しています。 また勉強会のお知らせは建築士会のホームページや会報の封筒に掲載されますので、是非ご参加ください。

研 究 部 会

実 践 住 ま い 塾

今年度の勉強会は偶数月の第3金曜日夜に行ないます。ただし見学会等は平日あるいは土曜日の昼間などを予定しています。 テーマは今年も「自然素材」、「エコハウス」、「木構造」の3つ。具体的な内容は広く参加者の希望も聞きながら企画します。
・4月、6月 「自然素材」
・8月、10月 「エコハウス」太陽光発電ほか
・12月、2月 「木構造」木造3階建について

「自然素材」勉強会
桑田 由加子

6月18日、大塚にある自然建材ショップ安暖邸において、「健康に配慮した住宅」に早くから取り組まれている、 自然住宅・住まい方推進ネットワーク代表、田久保美重子さんにお話をうかがいました。当日は雨の中16名の方が集まり、 予定の時間が大幅に延長したにも関わらず最後まで皆さん熱心に聞き入ってくださいました。私達の生活に密接につながっている ”住宅”の建材ひとつひとつを、熱帯雨林の伐採や大気汚染など、地球規模の環境から考えていかなくてはいけないということをあらためて 実感した時間でした。

勉強会に参加して
岩倉 朗子

田久保さんのパワーに圧倒されっぱなしでした。今までダイオキシンをはじめとする有害物質の数々については漠然とした 「危険だ・・・」という意識はあるものの、よく把握していませんでしたが、引き込まれるような話術(?)で、より詳しく知ることができました。 また確固たる信念をもって、正しいと判断した方向にしか進まない、正しいと思ったものしか使わない田久保さんの姿勢に感嘆するとともに、 自分の思うことに妥協せずに貫いていけることを羨ましくも思いました。お話のなかにもいろんなエピソードがありましたが、 ここまで来るまでの過程には相当なご苦労や困難があったことと思います。それにひるまずに進む姿勢をみて、自分の今していること、 これからすべきことについても、考え直させられたひとときでした。全てをお聞きするには時間が足りなかったので第二弾を期待しています。

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子どもの生活環境分科会

子ども分科会では公園・校庭など子どもの住環境を中心に調査をしてきました。昨年は約10年の活動をまとめ全建女で発表しました。 今年は一歩進んでもっと社会と関わっていこうということで2月の「女性建築士とのつどい」では講師の方から「住まい・住環境」に関する 子ども向けワークショップの実例を紹介していただき、その後参加者がワークショップでプログラム作りを考える時間を持ち たくさんのアイディアを出していただきました。その内容をもとにこの夏休み、川崎市の市民館イベントの中で子ども向けワークショップを することになりました。今回の企画には2月の「つどい」をきっかけに分科会に参加して下さった方や内容に興味を持った 男性会員なども新たに加わりました。子ども分科会では今後もいろいろな取り組みをしていきたいと思います。 基本的には隔月で勉強会をしています。勉強会への参加が難しい方はメールで参加していただくこともできます。 興味のある方はご連絡下さい。(氷室)

~川崎市宮前市民館でのワークショップについて~

夏休み後半の半日を使って開催する子どものためのワークショップ。題して「つくってみよう 夢の家」。 子ども達に今住んでいる家、そして世界中の様々な住まいを通して家族や環境や地球に思いを巡らしてもらい、 こんな家に住みたい!という夢を形にしてもらおうと考えています。 ひとつの場で一緒になって私達大人も子ども達も共に考えて楽しめたらいいな~と今メンバー全員で準備をしているところです。(関口)

支部だより

湘南のお知らせ

湘南支部のある鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、寒川にはまだいくつかの近代建築といわれる建物が残っていますが、知らないうちに素敵な 住宅が取り壊されミニ開発され、町並みがすっかり変わっているのに愕然とすることもしばしばです。藤沢では「鵠沼の緑と文化財を守る会」などが、現存 する近代建築を調査して町並みを守ろうとする活動をしたり、「旧モーガン邸を守る会」が、旧モーガン邸の保存活用運動などを行っていますが、 湘南支部もそれらの運動を支援し、歴史的建造物の保存活用につなげていきたいと活動をしています。(桑山)

横浜のお知らせ

女性委員会の数名の方に支部総会、講演会に出席して頂きありがとうございます。 10周年記念ということで、講師が伊東豊雄氏、隈研吾両氏。それぞれの作品についての解説とともに、 「構造と素材について」と題して対談がありました。当日は学生の姿が多く見られ、エレベーターの中で若者に 「今日はどうしておじさんが多いのですか」と聞かれました。(菊地)

―平成15年全国女性建築士
連絡協議会に参加―

今年の全建女は7月11(金) 12(土)の2日間、「地域と共生する住環境づくり」をテーマに、兵庫県神戸市で開催されました。 (全国から約300名参加) 未曾有の被害をもたらし、人々の暮らしを危機的な状態に陥れた、あの阪神・淡路大震災から8年、 復興に深く係ってこられた方々の講演が1日目に行われました。小林郁雄氏(コー・プラン代表)は“震災復興まちづくりから学んだこと”、 立木茂雄氏(同志社大学教授)は“仮設住宅や復興公営住宅のコミュニティについて”、市川禮子氏(社会福祉法人尼崎老人福祉会理事長)からは、 高齢者・障害者地域型仮設住宅の現状を、熱く語って頂きました。パネルディスカッションでは、神戸市在住の建築家・有村桂子氏、 県防災局から青田良介氏、連合会委員長の小谷部郁子氏が加わり、復興都市から考える「まちとくらしの未来像」と題して話し合われました。 後半には小黒利昭氏より専攻建築士とCPD制度について講演がありました。翌12日は各分科会に分かれて討議が行われ、 神奈川からも5名が出席しました。(成田)

B分科会 「環境共生」

環境との共生を実践していく上での問題提起と建築士の役割についてコメンテーターから報告があった。
千葉:地元の山武杉を勉強し林業の実情を知り、百年 住める家をめざし住み手の意識改革が必要。
兵庫:勉強会の結果をパネル作成やセミナーを通してユーザーに発信するという積極的活動の報告。
大阪:建築家として取り組むキーワードを披露。
熊本:シックハウスについて保健所と共同でパンフレットを作成しユーザーの啓蒙活動を実行。 建築主、設計者、施工者、メーカー全体で考え地域にあった環境共生を目指す必要があることを共通認識とした。(稲垣弘子)

E分科会 「歴史的建造物の保存と開発」

各地の情報が飛び交うこの分科会への参加を毎年楽しみにしています。まずは青森から古民家再生に取り組んだ活動の紹介があり、 調査、ワークショップに続き、北東北広域連携活動助成金事業としてシンポジウムを実施した経緯が発表されました。その後は質問あり、 各地の保存運動や事例の紹介ありで盛り上がりました。キーワードは女性力、「好きよね」という想いに学術的裏づけをし、お金を集め、 寒さ等の問題点を解決し住み続けられるようにするという元気が出てくるようなまとめでした。(佐藤里紗)

神戸「海岸ビルヂング」»

F分科会 「子ども・住環境」

子ども達の集まる建物の現況を考えることと、子ども達に住まいやまちに興味、関心を持ってもらい将来豊かな住まいや住環境づくりの ための学習を行うことの意義とその実施など、支援する立場として建築士の役割は何かについて話し合われました。 徳島士会の「学童保育施設の実態調査」と、福井士会の「理想の児童館とは...」の報告を受けて、各県から子ども達の居場所を確保していくための 意見交換。又、福島士会「建築と子ども達チャレンジ講座」や兵庫士会の教育委員会とタイアップした授業の様子など、 他の機関と連携した実例が紹介され、今後の私達の活動のヒントがたくさんある、熱い会でした。(浅見美穂)

G分科会 「高齢社会」

神奈川士会は、コメンテーターとして参加しました。「神奈川県における住宅改造相談の実態」と題し、女性委員会で、 取り組んできた住宅改造相談のあゆみと現況を報告しました。参加者49名と一番多い分科会でした。また、大阪士会は 「住宅改造に関するリーフレットの別冊“介護保険を利用して”の作成について」を発表されました。女性建築士の立場から、 わかりやすいリーフレットの作成をされたとのことでした。意見交換では、全国の住宅改造に関する情報が得られました。(雨森隆子)

あとがき☆

全建女の後、旧外国人居留地に数棟残る近代洋風建築を見て歩きました。内部が若い感覚で改装されて、 とても素敵な使われ方をしている建物も有ります。良質なものは、いつの時代にも受け入れられるんですね(成田)

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