WES News 38 2005年 1月
第47回建築士会全国大会 和歌山大会
きのくにから拓く建築の未来
~地域新時代の創造~
日本建築士会連合会主催の全国大会が10月21、22日和歌山市内にあるビッグホエールとビッグ愛で開催されました。 折からの台風で飛行機がなかなか飛ばず苦労しましたが、女性委員会からは7名が青年委員会と合同で参加しました。 会場では世界遺産熊野古道の写真展を始め、屋台村展示、各セッション、フォーラムと盛りだくさんな行事が繰り広げられました。 その中で、今年は女性委員会推薦で屋台村に「つくってみよう夢の家」(子どもの生活環境部会・写真左上)と「旧モーガン邸の保存と活用」 (湘南支部・写真右下)というテーマで2グループが出展し、全国からの来場者と対話形式で交流しました。
クイズ知ってるつもり
大川 友理枝
今年度より建築士会連合会の女性委員会副委員長を引き受けさせて頂きましたので、全国大会はスタッフとして参加しました。 事前打ち合わせは東京で行われ、九州・北海道から委員の方たちが集まり夜遅くまで会議が重ねられました。当日の私の役割は屋台村の舞台で 行われた女性委員会担当の「クイズ知ってるつもり」の問題を出す係でした。神奈川からも県庁の名前に関する問題が出されましたが、 正解率が良かったように思います。沢山の方に来場頂いて楽しくできました。来年は6月の愛知大会です。是非ご参加下さい。
私が描く建築士会
~全国委員長大バトル!!~
浅見 美穂
現在日本建築士会連合会では、連合会組織のあり 方が検討されています。その動きは、各単位士会に も微妙に波紋を与え、 単位士会の組織見直しの必要性まで議論されるきっかけになっています。単位士会の進むべき方向、ブロックのあり方、 連合会のあり方という3つの論点について、全国から 選ばれたコメンテーターが紅白に分かれ、その主張を全国の青年・女性委員長が判定を するというセッションでした。白熱の論議になるのかと思いきや、各地域の現状の意見交換に留まり、今後問題点の洗い出しにも時間がかかる ことが予想されました。
実践すまい塾
今年度の実践住まい塾は、平成16年12月15日に「木構造」の勉強会を開催し、織本匠構造研究所 設計統括部超の中澤昭伸先生に、 「戸建免震の設計手法について」御講義をいただきました。講師の中澤先生は、今年9月に交付された免震建築物に関する 改正告示の改定に携わられた方で、戸建免震建築物について御講義のできる数少ない方のお一人です。構造の専門家でいらっしゃいますが、 意匠中心の建築士のために、構造設計について大変丁寧にわかりやすく御講義をいただきました。
中澤先生
講義を聴いて、戸建免震は今後更に、身近なものになりそうだと感じました。出席者は、34名。予定人数を上回る参加で、 今回のスタッフ以外は、かろうじて席が用意できたという状況でした。最後の30分は、参加者からの質問事項に対して詳しくご説明をいただき、 内容の濃い講習会であったと思います。ご参加いただいた皆さん、いかがでしたでしょうか。昨年度までの講習会は、 アンケート結果にできるだけ沿うように試行錯誤したものですが、今回は、「木構造」担当の一人が熱心に企画したものです。自分自身が 勉強したいと思うことを皆さんにも、という、「住まい塾」発足の際に考えていたことを、素直に実施するのも、 なかなか良いのではないでしょうか。これからも、よい勉強会を開催して行くつもりですので、ぜひご参加ください。 また、「住まい塾」のメンバーとして、企画に参加したいという方も、お待ちしています。(広岡まり)
福 祉 部 会
第一分科会では、10月16日 第三回研修会「ケアマネージャーの立場と仕事」「福祉用具の見学」というテーマで、 長年ケアマネをされている(社)横浜社会福祉協議会 地域ケアプラザ 所長 介護専門員 三枝公一氏にお話を伺いました。 三枝さんの人柄が伝わり、分かりやすい研修会でした。今までの講師の方々もそうでしたが、説明が上手く、とても参考になりました。 福祉用具では、昨年新たに追加されたものの説明があればもっとよかったと思いました。
第2分科会11月27日「建築士のための福祉機器の理解」~車いすについての基礎知識~ 横浜市総合リハビリセンターにて研修会を開催。
【出席者安岡めぐみさんの感想】
今回福祉機器の理解、車いすの基礎知識の研修会に参加し、4時間という時間もすぐ終わってしまうほど充実した内容に満足しています。
前半は、各部の名称や使用方法、各個人に合わせる為の調節方法などの説明があり、その後は実際乗ったり、押したりする事ができました。
階段状になっている所を押して昇っては方向転換をして降りるという事をしてみたのですが人が歩く幅でも注意していなければ脱輪しそうに
なったり、外にでて押してみてもさほどないと思った段差にぶつかってしまったりと普通に歩いていては気付かなかった事に気付かされました。
機会があれば、建物内の設備をどのように使用しているのか、ハートビル法で定められている数値での使用ではどのように使用者は思うのか体験
してみたいと思います。
技術支援委員会の部会活動を
応援しています
子どもの生活環境部会
12月までの活動は、一言でいうとメンバー総出の大活躍!(大忙しとも言いますが)。今年度のメインテーマである
「建築士として子どもへの発信活動」を中心に突っ走ってきました。発信活動の主なものは、直接子ども達と一緒に手を動かすワークショップ
(WS)です。その中で私達がいつもそれぞれの思いの核として持っているのは「家・住まい・居場所を考えることが、子ども達に
『家族』を改めて考えるきっかけになってほしい」というものです。今の社会で『家族』像は実に様々な形をしています。
どれも同じ物はないし、正解もない。そんな中で、子ども達に自分の家族と居場所とそして夢を考えて貰えたらいいなと思います。
これまでのたくさんの活動を通して、部会以外の建築士の方や他県の建築士会の方、学生さん達との連携も発展してきました。
今後も新しい動きに繋げていきたいと考えています。活動の一部を紹介すると
5月:建築エキシビション参加
7月:WSのためのスタッフ合同会議
8月:藤沢学童でのWS 川崎宮前市民館でのWS
10月:藤沢市立新林小学校にて出前授業
川崎創作センターにて連続4回講座
全国大会(和歌山)屋台村への出展
まだ、今年度の企画を立ち上げつつありますが、活動のまとめも充実させて来年度に繋げていきたいと、メンバー全員燃えています。
建 築 環 境 部 会
「建築環境部会」は自然環境に与える影響少ない建築、また、人間自身も健康に暮らせる建築。これらを念頭に学習し研究活動を行っております。 今年度は、女性委員会実践住まい塾の皆様と共催で、木造の伝統構法の勉強会と見学会を行いました。その他の活動では、 国産材県産材の切り出し現場の見学、よこはま住宅フェアに県産材の利用促進をテーマに出展。また「断熱・気密徹底講座」を行いました。 今後の活動としては、伝統構法の研究や換気手法など幅広く学習していこうと考えています。
伝統構法現場見学会
スクランブル調査隊
「スクランブル調査隊」は建築士会会員全てが隊員です。現在37名が登録しメーリングリストによって情報を発信し、意見を交換しています。 各地に散らばる隊員からの意見は大変貴重な情報となっています。また、各地で歴史的建築物の保存活用に関わる団体・個人をサポートし 応援することも、建築士である我々の使命かなと思います。台風で延期された10月31日は茅ヶ崎市内をウォチングしました。 歩いて解る情報が数多く発見され、常に自己研鑽につながります。毎月部会を開いていますが、歴史・文化・そして技術についても少しずつ 勉強しています。どうぞ皆さん、遠慮なく参加してみてください。お待ちしています。
南湖院(旧結核療養所)
WESフォーラム
ジブリin鞆の浦
桑田 由加子
皆さんは広島県福山市という場所をご存知でしょうか。新幹線の駅で言うと新倉敷と新尾道の間に位置しています。 父の実家はその中の鞆の浦(とものうら)という場所にあり、そこは江戸時代の建物をいくつも残している瀬戸内海に面した古い静かな町です。 11/20~22、町並み保存などに力を入れているNPO鞆まちづくり工房の誘致で、宮崎駿監督で有名なスタジオジブリの総勢210名ほどが社員旅行 として鞆を訪れました。旅館やホテルがいくつかある中で、希望により幹部20数名が3軒の民家に泊まることになり、その中の1軒として我家も 協力することになりました。古い家をこれからどうするか悩んでいた私達家族は、これを機会に40年使わずにいた江戸時代に作られた茶室を直し、 そこに女性ばかり6名泊まっていただきました。また町歩きの途中に宮崎監督や高畑監督も我家に来てくださって、部屋にも町にも喜んでいただけた ようです。いつかジブリの映画の一部にでも鞆をモチーフにしたものが出れば嬉しいなと思っています。毎年2~3月には町歩きをしながら 江戸・明治期のひな人形も見ることが出来る町並みひな祭りが開かれています。ぜひ一度鞆の浦にいらしてください。
父81才、家を建てる”その1
雨森 隆子
大正12年生まれの父、12月25日クリスマスで81才、そして、結婚50周年、金婚式です。結婚の記念に植えられた杉も50年たち、 この我家の杉で建替えが計画されました。設計はもちろん私ですが、81才とは言え、まだ現役で土木業の仕事をし、小さな体と口は身軽に 動き回ります。A型、せっかち、人の話を聞かず、がんこ、まわりはどきどき、はらはら、元気すぎて困るなぁと思っています。 孫たちには人気者ですが、設計できる嬉しさと先途不安な横山邸新築が幕をあけました。
新潟県中越地震・住宅相談キャラバン隊に参加して
間木 宏美
10月23日夕刻に震度7をも記録した地震でした。応急危険度判定が終わっている家屋の調査で、神奈川県建築士会からは 11月7日から15日の日程で延べ111名の参加者がありました。長岡市内の対策本部に朝集合して、地域別に収められた相談者宅の ファイルを受け取り、車に2~4名が乗って現地へ向かいました。私は長岡駅から南へ下った地域で、JR上越線沿いから山手にかけての数件のお 宅へ伺いました。被災状況は、建物の外部はそれほどでなくても、中は土壁の剥離やボードがそっくり抜け落ちていたりと、ダメージはかなり ありました。柱は4寸を使っている家が多く、それが被害を小さくしているようでもありましたが、家屋の外周部に使われたろうそく基礎が、 緊結されていない為か倒れているという建物が何件かありました。まだ怖いので、倒れた家具もそのままにしているという家ばかりでした。 道路や擁壁の被害も大きく、これから雪の季節を控えて心配されている現地の方々の姿が思い出されます。「今年の漢字」が「災」 になってしまいました。災い転じて福となす・・・心から願うばかりです。
あとがき☆
明けましておめでとうございます
毎年三が日は駅伝観戦。以前は国道1号沿いに住んでいたので、旗振りもしたけれど、今はもっぱらTVの前。(^_^;) 今年もWESニュースをどうぞよろしく