WES News 39 2005年 3月
第2回 士会活動交流会
建築士と手をつなごう
去る1月29日(土)横浜のランドマークタワー13Fにあるフォーラム横浜にて第2回士会活動交流会が行なわれました。 この交流会は女性委員会と青年委員会が共催で昨年より取り組んでいます。会場には建築士会会員をはじめ、 子ども・学生・一般市民合わせて78名が出席し、第一部の講演、第二部の活動報告に耳を傾けました。
講 演・まちの縁側は楽しいナ
~キモチづくりからカタチづくりへ~
NPO法人まちの縁側育み隊 代表理事の延藤安弘氏を講師に招いての講演は、お話の内容と講師の話術にすっかり引き込まれたひとときでした。
絵本幻灯会と銘打って、イギリスの絵本「トンネル」を題材に、市民参加のまちづくりの進め方を学びました。
また延藤先生が携わったまちおこし活動や、まちの縁側育み隊の活動など、士会活動の参考になる多くの事例を伺いました。
先生には二部の活動報告も聞いていただき、これからの活動へのキーワードともいうべきメッセージをいただきました。
わを広げ、点から線・面へモノ・ヒト・コトのつながりのデザインへ
が(我)流・自分スタイルの表現・発信へキモチからカタチへ
なごみと美しさと楽しさはヒトもモノも元気になる自己責任・相互敬愛・持続力・想像力を膨らませる
かなわんトラブルをエネルギーに対立を新しい力に変える
下から読んで「か・な・が・わ」とまとまりました。
講演中の延藤先生
活動報告会
二部の活動報告会は17年度の関東甲信越建築士会ブロック会青年建築士協議会(通称:関ブロ青年協)の群馬大会での発表者選考会を
兼ねることになり5つの活動がエントリーしました。
1)つくってみよう!夢の家Ⅱ(子どもの生活環境部会)
2)ナナメ塾(中支部)
3)環境と調和する建築をめざして(建築環境部会)
4)旧モーガン邸の保存活用運動(湘南支部)
5)県内の歴史的建造物の調査(スクランブル調査隊)(ここで投票)
6)17年度エキシビションに関して(住宅エキシビション)
7)新たな福祉部会の活動(福祉部会)
8)住宅設計に役立つ勉強会(実践住まい塾)
9)恒例のスキーツアー(横須賀支部)
10)楽しい支部活動(横浜支部)
11)新潟中越地震住宅相談の報告(キャラバン隊)
投票の結果、「子どもの生活環境部会」が群馬で発表することになりました。
会場でのパネル展示
実践すまい塾
~士会活動交流会での発表~
活動報告会は士会会員の手作りの発表会で色々な会が普段どんな活動をしているのかを知る良い機会でした。 今回は実践住まい塾の発表者として始めて参加させて頂きましたが大変活気があり士会会員の「お祭り」のような印象を受けました。 発表資料をまとめるにあたっては、もう一度勉強会を反省する機会となりあれこれ不備やこうすれば良かったなどと思いだされました。 それでもどうにか資料をまとめた時はホットしました。メンバーとの連絡はほとんどメールにて行い、できるだけメンバー全員の 意見を反映できるようにと心がけましたがなかなか難しいと感じました。発表を通じて自分の考えを人に伝えることの大切さを実感しています。 他の発表を聞くこともとても勉強になりました。皆さんのユーモアを交えての発表は楽しく活動を知ことができ良かったです。(大場恵美子)
歴史的木造建築見学会
~若命家長屋門の修復工事に学ぶ~
三浦半島に江戸時代から続く若命家の長屋門を訪ねます。横須賀市秋谷にあるこの長屋門は先ごろ第2期の修復工事を終え、
なまこ壁の美しい外観を見せています。長屋門見学後は自由参加で葉山の別荘めぐりをいたします。
歴史的建築に関心のある方のご参加をお待ちしています。
日 時:平成17年4月13日
講 師:若命陽子氏
屋根は瓦ぶきで、壁は漆喰、腰には平瓦を張り付けた、な
まこ壁の長屋門です。
(修復前写真 横須賀市HPより)
応援します部会活動
福 祉 部 会
第一分科会では、平成17年2月24日に今年度の最後となる第5回「相談員のための研修会」を開催しました。
講師として逗子市社会福祉協議会から地域福祉推進担当の秦泉寺孝氏と介護支援専門員の金子幸子氏をお招きし、
両講師から「福祉職からみた逗子市のシルバー相談と住宅改造状況」「理学療法士からみたチームアプローチの住宅改造と脳梗塞の身体的特性」
といった内容の講義を受けました。引き続いて行われた住宅改造ワークショップでは「夫が脳梗塞による障害を持った高齢者夫婦」
といった事例について4グループに分かれて身体状況や生活状況等を整理し住宅改造の提案を検討しました。そしてグループごとに提案を発表し、
それぞれの提案について両講師から講評をいただきました。あっという間の3時間でしたが、とても有意義な研修だったと思いました。
来年度も引き続き、地域相談事業に際し、より良い相談対応が出来るよう研修会を企画していきたいと思います。下村 旭
第2分科会2月26日、横浜市の中山福祉機器センターにて、第2回研修会「障害特性に沿った住宅改修の実際を学ぶ・生活支援機器を知る」
を開催しました。
~企画に感謝~・内田ミチル
以前関心がありながら継続勉強が出来なかったため、今回は非常に良い機会でした。 前半はPTである藤井氏により高齢者、障害者の住環境整備についての手順と注意点について講義を受けました。 続いて実際の住宅改修に関して、ビデオにより異なったケースを3例ご説明いただきました。これは、ケース分析から試行錯誤、 改修後の経過まで含まれていて、たいへん参考になりました。また、2例目のお宅が、2日前に出席した「相談員のための研修会」での事例と ほぼ同じケースで、一つの解答例として私の中で有機的に繋がったことは、非常に有意義でした。後半は実際に、回転直径750mm(!)の6輪式 車いすなどの様々な福祉機器を体験することが出来、多くの可能性を実感しました。
建 築 環 境 部 会
~「県産材の現状」山からの報告 に参加して~
星野将史
神奈川県産の木。恥ずかしながら3年程前に知るまで県産材については知りませんでした。 というよりも、有名な産地の材木ばかりがクローズアップされていて地産地消なんてことを考えるきっかけがなかったのと、 あまりに少ない山からの情報で地元の山を知るきっかけがなかったのかもしれません。今回の講習会では、地元の山がどうなっているのか、 産出される木材の状況、行政や森林組合の取り組み等、今自分の住んでいるすぐそばの山の環境を知る上で大変興味のある内容でした。 神奈川県産材についての試みは、まだまだ始まったばかりのようですが、今回の講習会に出席して是非とも成功してほしいと思う気持ちで いっぱいです。地元の山に誇りが持てるのは、県民としてうれしい限りではないでしょうか。近頃「食育」という言葉を良く耳にしますが、 自分の住んでいる家を造っている木を知り、それを生み出す山を見て、山の生きている環境を考える「住育」 ということが今必要とされているのでは。そんな気持ちにさせられる講習会でした。
子どもの生活環境部会
新鮮な取り組み!今後も
私達は3月に5年生家庭科授業を二つの学校、計6学級で行いました。同じ「すまい」の単元ですが異なった内容でした。 子供からは「自分からどんどん絵が描けてうれしかった」「世界の家の紹介が面白かった」「設計は図工と違ってすごく考えて頭も使うことが よくわかった」などの感想。先生からは「ワークショップ形式の授業は新鮮な取り組みで今後につなげたい」とのお話。そしてメンバーからは 「多彩な発想が出ることに対しておどろいた」「次の展開がとてもが楽しみ」といった感想がありました。みなさんも一度参加してみませんか?
スクランブル調査隊
~関邸見学会に参加して~
松井真由子
昨年12月横浜市都筑区にある重要文化財指定民家「関邸」の改修工事見学を行いました。 建築年代は17世紀前半で、関東では最古の民家のひとつといわれ、桁行10間・梁間5間の大型なものです。 工事は主屋・書院の解体修理と長屋門の部分修理が行われ、当日は主屋と書院の壁の仕舞の途中で軸組の補強状態を見ることが出来ました。 茅葺は会津から職人を呼んで葺き替え、壁も竹小舞から組む伝統構法を採用しています。基礎は不同沈下を起こしていたため全て解体、 地盤改良代わりに厚めのベースコンクリートを打ちその上に礎石を設置しています。また天井構面に水平ブレース、 貫のSUSプレート補強等の構造補強もとられています。21世紀の工法に支えられた17世紀の復元民家がこの後何年も永らえることを強く 願いました。
WESフォーラム
”父81才、家を建てる”
その2・雨森 隆子
平成16年2月末、山から100本程の杉が切り出されました。構造材・下地材は自然乾燥、造作材は人工乾燥することになったのです。 しかし、南谷の杉山、製材してみれば、見た目は真っ直ぐに立っている杉も、意外に曲がっていたり、節が多かったり、赤かったり、 黒かったり。大工には材料が良くないと言われてしまいました。「器量が悪いだけなら、使ってほしい」とお願いしました。“我が家の杉で造る” が第一のこだわりでしたから。基礎工事が始まりました。自分の仕事とばかりにはりきる父。遠隔操作と周りの方々との協力でなんとか 上棟には間に合いました。冷や冷やドキドキ…。後に大工の愚痴を聞くことになりました。 11月末、快晴の上棟日和。 祝い事の準備にかけまわる母を横目に、棟で杯をかざす上機嫌な父がいました。
“今”は とっても大事!
野地 春子
「今日はどうしたらいいの?」小学生の3人は毎朝、放課後どこへ帰ったらいいのか確認します。私が夕方までに帰れないときは、 歩いて10分弱のおばぁちゃんの家へ帰って遊んでいます。それはそれで楽しいようですが、「今日は居るからお家に帰ってきてね。」と言うと 「じゃぁ友達呼んでもいい?」と喜びます。「仕事するから何にもしてあげられないよ。」「うん。いいよ。」母が家に居るだけで、 ちょっと嬉しいようです。そばに居ることを喜ばれるのは今のうちでしょうね。この時期を大いに楽しむべきだと思っています。 そのうちうるさがられるのでしょうから。あと数年はできるだけ子どもの帰宅時間には家に居ようと思っています。仕事柄、なかなか難しいですが。 打合せは1日に2~3件まとめるなど、外出する日をできるだけ減らすよう心がけています。特に1番上の娘は5年生になり、 ときどき小さな悩みを持って帰ってきます。そんなとき学校から帰ってすぐ話を聞いてあげるとすっきりするようです。 こんな些細なことでも今はとても大事に思います。この時間は2度と帰ってきませんから。
あとがき☆
今年度、女性委員会は大きく変わりました。 福祉部会や子どもの生活環境分科会が技術支援委員会に移行し活動の場を広げています。
種をまき、苗を育てる畑のような役割をして来た女性委員会も、来年度から体制を変えてスタートすることになります。
WESニュースもそれに伴い変わっていきます。切り張り紙面で始めた第1号から、パソコンを駆使して編集する第39号まで、
女性委員会の活動が凝縮されています。ご協力頂いた方々ありがとうございました。次号はリニューアルしたWESニュースでお目にかかる予定です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
(広報部会:江藤・間木・佐藤り・佐藤よ・成田)