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大磯駅から国道1号沿いに西約2kmにある県立大磯城山公園の「旧吉田茂邸地区」。
旧吉田茂邸は、戦後日本の復興に大きな功績を残された故吉田茂元首相の本宅であり、首相在任中はもとより、政界引退後も多くの政財界人が訪れるなど、重要な役割を果たしてきた戦後政治史の舞台でした。大磯の旧別荘群の中でも傑出した存在だった旧吉田茂邸は、近代政治史の歴史的遺産として保全・活用するため県立大磯城山公園の拡大区域として整備されています。(H25.9 一部開園)
本邸部分は、建築家・吉田五十八によって改修・増築された豪壮で近代的な数寄屋檜造りの建築物でしたが、残念なことに公園の計画検討途中の平成21年3月に火災により焼失してしまいました。
現在、大磯町が広く募金を呼びかけ、その募金を原資に本邸の再建に取り組んでいます。本邸の在りし日の姿を見ることができるのは、もう少し先の話になりますが、現在開園している日本庭園の部分は吉田茂が存命だった昭和41年頃の姿を再現させたものとなっており、当時の面影をうかがい知ることができます。この日本庭園は世界的な作庭家・中島健が設計を手がけた池泉回遊式の庭園で、花を愛した吉田茂らしく、多くの草花やツツジ類、梅などで彩られています。
日本庭園内には火災を逃れた兜門や、明治維新の元勲と歴代の内閣総理大臣、
伊藤博文・西園寺公望・吉田茂らを合祀した七賢堂を見ることができます。
兜門はサンフランシスコ講和条約締結を記念して建てられた門で別名「講和条約門」とも呼ばれます。
京都の裏千家の兜門と同じ製作者を呼び寄せて造られており、国内外の要人を迎えた当時の面影を今も伝えています。
また、未整備区域内にあるため、遠目からしか見ることができませんが、本邸の離れであったサンルームは火災を逃れており、本邸の再建を待っています。
昭和40年ごろに建築したとは思えないなめらかなR形状の屋根、
存在感を感じさせないすっきりした鉄骨フレームや窓枠は、非常に洗練されたデザインで、吉田茂のこだわりを感じさせます。
皆さんの中には、本邸の再建が済んでから行ってみようという方もいらっしゃるかもしれませんが、
今でも十分すぎるほどの魅力がありますので、ぜひ一度、現地に足を運んでみてください。
(参考:神奈川県平塚土木事務所ホームページ
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/636264.pdf
(スクランブル調査隊 薄井謙一)
東日本大震災直後の「計画停電」という、それこそ『想定外』のエネルギー危機を体験して以来、わたしたちは日常の生活を営むうえで「省エネルギー」や「エコロジー」といった課題に否応なく対峙せざるをえなくなりました。加えて近頃は、四季を問わず起こる異常気象や、それらによってもたらされる土砂災害の状況を見るにつけ、「地球温暖化対策」や「CO2削減」のためにわたしたちができることは何かを自問する機会も多くなっています。 私たちの多くは、住宅を建築することを業としており、部材作成、造作、施工といった住宅建築のすべての過程で多量のエネルギーを使います。完成後、住み手の方々はそこで住むために長期間エネルギーを消費していきます。このように長い期間エネルギーを使い続ける住宅だからこそ、それを建築する各段階において、エネルギーマネジメントに係る建築士の自覚がより問われる時代となりました。 さて、世の中には「エコハウス」や「パッシブハウス」と言う言葉が流布し、次世代省エネルギー基準による熱損失係数の基準値に合わせた設計推奨や、省エネ法に基づく届出、長期優良住宅の認定なども制度化されています。また、横浜市ではCASBEE横浜が戸建て住宅に適用できることになるなど、建築主、事業者双方への様々な優遇措置を伴って行政が後押しする制度も拡充しつつあります。 鎌倉時代、鴨長明は『方丈記』の中で、夏向きにオープンで、またいつでも簡単に移設できる住居「方丈庵」のことを記しました。人々の日々の生活はその時代に比べてずっと複雑かつ便利になり、また気候も随分変化しているに違いありません。まあ、当時の生活スタイルには化石燃料の大量消費なんてことはなかったでしょうし、もっとパッシブな生活だったことでしょう。では「現代の方丈庵とは」ということで、今号は現在「環境建築」の様々な分野で活躍されている方々からその取り組みをお伺いして、先進的なエコハウスとは何かを考える特集を組んでみました。 それでは、みなさんのお話をうかがってみましょう。
横浜市住宅供給公社がコンペによる設計者選定により建設した、
「MINA GARDEN十日市場」11戸の木造住宅の内、Cエリア3戸を担当した。
飯田義彦建築工房が担当した、マスタープランの「みんなの庭」を取り囲むように暮らすことや豊かな地形をそのまま生かすため、
多角形敷地を緑あふれる家にすることを念頭に置き、基本的な方針を次の四つとした。
1.シンプルな構造では、不整形な敷地に対応しやす
い平面として4間、7.2mの真四角の平面とし、4隅に長さ1間、の耐震壁を設け、
シンプルで偏りのない構造とした。耐震壁はこれだけで、中央の吹き抜け廻りの4本の大黒柱以外の壁は原則構造的にフリーとなる。
2.風と光の通り道では、建物中央に1間四方の光と風の通り道をつくり、季節に応じた冷気や暖気の流れをつくり、
省エネルギーで快適な温熱環境を創る。トップライト、サンルーム、
建物の4面の内3面は約2間の開口部を設け、2階には3面にバルコニーを設け、「みんなの庭」を取り囲む。
3.フレキシブルな空間では、各居室は可動間仕切りを基本とし、春夏秋冬の日本の季節、家族の成長に伴う使い方の変化、
暮らしの変化などに対応しやすいものとした。
1階は浴室、トイレ等の水廻りを集約し、将来リビングを高齢者の寝室として使うことも可能である。
4.緑の活用では、日照調整や気温上昇の抑制、視線の遮断や小鳥の住処など色々な機能を持ち、
日本の素晴らしい四季を感じられる緑の活用を図った。
「シンプルな構造で風と光たち(地球)と仲良く付き合い、フレキシブルなお家は緑(地球)に守られる」。
これらが地球の脱温暖化につながると考える。
高温多湿の日本では、夏の暑さ対策が今まで以上に気になってきた昨今です。給湯は当たり前、暖房器具のスイッチを入れれば暖かく暮らせる時代、小さなエネルギーで夏涼しく冬暖かい温熱環境のバリアフリー住宅が求められます。 退職後、終の棲家と思っていた住宅は耐震性がないと診断され、住まいに不安を感じていたK邸は、 耐震改修で上部評点が1.0を上回るならと、リフォームすることになりました。 夏暑く冬寒くて住めない2階の部屋、西日の遮閉、高齢化を見据えた1階での生活、冬、気になる窓からの冷気をなくす等、断熱効果を 高めることが重要なテーマになって高齢期の暮らしを見据え、地域との関わりや友人との繋がりをデザインしました。
■耐震性を高めながらもその住宅の土地の環境を考慮した眺望や光や風の流れを生む平面的、
断面的な壁や窓の計画。そのための効率的な吹き抜けを設けました。
■自分らしく地域や趣味の仲間との交流を生む2階のフォトギャラリーの創出。
■外皮となる屋根・外壁・床下の断熱性能(省エネ等級4)を高め、
断熱サッシュにかえ西日の遮断を高める壁を設け、小さなエネルギーで快適な温熱環境を確保しました。
特に、気密性が高まった住宅だけに、風の流れを緩やかに生む窓の配置や、
冬、今まで差し込まなかった部屋に日差しを有効に室内に取り込み、喜ばれました。
今回のエコリノベーションは、バリアフリーのアクティブな暮らしが体力・気力を充実させ、活き活きと自分らしく自宅で快適に暮らす終の棲家となることでしょう。
昨年より建築環境部会では人間の五感を意識した建築づくりを目指そうという試みから
「感境建築」と称して勉強会を月に1回行なっております。
来年(2015年4月)からオリンピックの年の2020年までの間に建築を取り巻く環境がかなり変化します。
温熱環境についてはかなり大変になることが予想され、専門用語、基準,規定、の数字の意味を正しく理解することが求められます。
それに付随して色々なコンピュータを使用したソフトが開発され便利になるでしょうが、数字が一人歩きする懸念があり、
単なる便利グッズの物量作戦で事がすまされる可能性も出てきます。正しい知識の蓄積と提案力を身につける事が不可欠となります。
やむを得ず、物量作戦を行う事になれば、それなりのコストが掛かることになります。
適材適所の素材を見極め無駄を省いて提案出来ればそれなりにお財布にも優しくなるのではないか・・・などと考えます。
なので、少しでも同じ価格であればより良い素材であったり、数字だけではなくその会社の理念であったり
判断材料は多岐にわたります。そのために昨年より勉強会を始めました。
今年の9月に勉強会のメンバーで横浜の野毛周辺で街歩きを行い、いろいろな環境にある建物、
その周辺環境を肌で感じながら調査活動を行いました。
その場の風や空気を感じ、太陽を感じることで、普段屋内であれこれなやむ日々とは違い、
体感することの大切さを実感できました。
これらの活動は、建築主に対するアピールやプレゼンに役立つことであるでしょう。
●省エネ住宅向け税制や助成制度の活用状況
建築士会会員の皆様には、関係税制や助成制度の概要は、既にご存知と思います。
それでは、これらの制度が戸建注文住宅や分譲住宅で、どの程度使われているのか。
当協会で取り扱っている建築確認申請(平成25年度約8,600件、ほとんどが戸建)を母数として、
実績をご紹介しますので、皆様も活用してみませんか?
①省エネラベル認定 約700件(平成25年度、以下同)
省エネのトップランナー基準を充足する住宅に緑のラベルが付与されます。
達成率等も数値で表示されます。フラット35Sの申請にも使えるのがミソ。
また、横浜市の省エネルギー対策住宅の都市計画税減税制度にも、住宅性能評価書等と同様に活用できます。
②長期優良住宅認定 約100件
省エネ性能(4級以上)の他、耐震性能(2級以上)維持管理性能等について
一定の水準をクリアする住宅が認定されます。所得税の住宅ローン減税で、一般住宅よりも優遇されるほか、
地域のビルダーを対象とする「地域型住宅ブランド化事業」(当協会関与実績100件)の条件にもなっていますから、
その場合は「ブランド化」の助成金100万円取得も可能です。
また、この7月から開始された「長期優良リフォーム」も助成制度が用意されています。
●活用のための設計ポイント
これらの制度の認定基準の下敷きは省エネ法の基準 ですが、住宅性能評価、さらに低炭素住宅認定にも組み込まれています。
ただし、低炭素では「一次エネルギー消費量」「外皮性能」などと耳慣れない用語が頻出しますが、
要は計算方法の違いで、基本的には断熱性能の確保や省エネ性能の高い設備の利用がポイントであることに変わりありません。
また、計算式上の適合性だけではなく、省エネ性能を損ない結露等の
トラブルにも結び付くヒートブリッジ(熱橋)への配慮も必要です。熱橋現象はマンションのほか、
戸建住宅においても複雑な形状の突出部には、断熱仕様の不十分さで発生の可能性があるとされています。
最後に、省エネには直接結びつかないものの、エコの観点から、地元木材の活用も重要です。
当協会の県産材活用助成制度(約20件)もご活用ください。
2012年、弊社は集合住宅「磯子スマートハウス」を建設した。YSCPの一つに位置付けられ
「省エネルギー化+節電(使用量とデマンドのダブル削減)」への実証試験を実施している。
取組み一例は①「家づくりの工夫」高断熱(外断熱)+パッシブ設計(風の通り道の計画等)+再生可能エネルギー
(太陽電池、太陽熱利用ガス温水システム)+住戸間電力・熱融通+統合制御システム(住棟全体の制御)
②HEMS(山成も自宅に導入)による居住者の省エネ行動促進
③YSCP電力デマンドレスポンス実証試験等である。
省エネルギー対策等級4超の設計とした。実証結果は上記①のみで「一次エネルギー30%削減(2012年度)」、
更に③により「平均受電電力削減率58%(2013年度)」を達成。居住者からは「家づくりの工夫」
に対する高い建築評価(快適・便利等)を得ている。
導入した燃料電池は現在、発電効率40%超えであり、電力会社の需要端効率を超えてしまった
(廃熱を利用しなくても一次エネルギー削減となる)。燃料電池自動車も発売が予定され、今後の発展が期待される。
横浜市設計条例でも検討が義務付けられている太陽熱利用(山成の卒論)は変換効率40%超えで
あり太陽光発電効率15%の2倍以上である。本件でも建築士は欠かせない存在であった。
上図のHEMS的役割を設計段階では建築士が担った。生活スタイルや建築計画・施工・構造・
材料と調和した省エネ計画が肝要であり建築士会の環境部会・木造塾は大変勉強になっている。
「バウビオロギー」の思想は重要と個人的に感じている。
ここまでお読みいただき、いかがだったでしょうか。
建築と環境をめぐる様々な取組み、温故知新な知恵もあってまさに「目からウロコ」だったかもしれません。
住宅の省エネルギー化を図るためには、
①設計時での間取りや構造などの工夫など、いわゆる「パッシブデザイン」の大切さや、
②エネルギー・マネジメントができる設備機器の導入や太陽光など再生可能エネルギーの活用など、
新たな技術を取り入れる工夫が挙げられました。
省エネルギー住宅は、間取りや構造を工夫することで、2次エネルギーである電気等の消費を抑えることができます。
このことは1次エネルギーである石油や天然ガスを代表とする枯渇性の化石燃料の消費を抑えることができ、
それを燃焼させることによって発生するCO2の排出を縮減できる高い効果があります。
また、エネルギー以外にも利用されている石油などの枯渇性資源の延命にもつながります。
また、太陽光などの再生可能エネルギーを活用し、熱源や電力として利用すればCO2の削減に直接寄与することもできます。
ご存じのとおり、住宅の熱損失の多くは壁材などの外装材やガラス窓から。快適な居住空間のためには
住宅の保温性や気密性も大切ですが、反面、西日の遮断などの対策も大切とのこと。
夏場の家庭でのエアコン利用がよくやり玉に挙げられますが、わたしたちの住む関東地方の住宅では、
標準的な家庭の年間を通した電力消費のほとんどの部分が実は冷蔵庫や照明器具、テレビなど毎日使うものからです。
ノーベル賞受賞で話題になったLED照明の導入は、確かに電力使用量の減につながります。でも、その照明器具の位置や
開口部のレイアウトなどを工夫し、さらに電力削減に貢献できるのが建築士の業と腕のみせどころ。
加えて、それらの工夫を施して長期優良住宅の認定を受ければ、建築主と事業者双方に税の優遇措置や
助成金等が受けられる仕組みもあります。建築士が環境を考えることは、建築主にも事業者にも地球にもメリットがある、
少しでもそう思っていただければ、本特集を組んだ甲斐があったというものです。
世の中、電力供給手段や海外からの化石燃料の日々の価格や搬路確保に関心が向きがちですが、
そうやって確保した電力の多くを使う住宅の設計・施工に携わる建築士だからこそ、日々心がけたいことだと考えます。
皆様は自分のお住まい、お勤めになっている地元近郊の名建築群にじっくり触れる機会がありますか?案外「灯台下暗し」ではないですか…? 今回の見学ツアーは初の試みとして、主に相模川より西側(県央支部は東側も含まれています。)の 3支部の合同で1日かけて名建築群をめぐり、終了後はB級グルメを堪能し、支部間の親睦を!ということで、 1月にキックオフ会議を実施、以後ルート、見学対象建物、懇親会会場、 など支部其々の地域性を反映し、趣向を凝らした内容にと、話し合いを重ね当日を迎えました。
当日は小田原駅西口に集合、まずバスは箱根板橋駅近くの旧東海道沿道の「内野邸」に向かいます。
1980年迄「武功醤油」の名で醤油醸造を業としていた同家の店舗兼用住宅は1903年の竣工当時の流行であった土蔵造りですが、
1階店舗入口には石造のアーチ状の装飾をあしらい、2階部分は窓周りと戸袋を銅版で覆い、店舗入口の上部は海鼠壁にて仕上げ、
単なる土蔵造りとは一線を画す、和と洋が融合した個性的なファサードを有します。
裏手に回ると醤油工場の遺構も大部分残っており、産業遺産としての側面も持ち合わせております。
月に2度ほどの土、日曜にボランティアスタッフによる一般公開をしております。
(公開日の詳細は「板橋まちなみファクトリー」で検索下さい)
内野邸から徒歩で5分もかからぬ場所にあるのが小田原市郷土文化館分館・松永記念館です。現在の9電力事業者体制を作った電力王、松永安左ヱ門。
号を耳庵(じあん)と称し茶の湯の世界では最後の数寄茶人としても名を馳せた安左ヱ門は1946年に所沢代数寄屋建築「老欅荘」(ろうきょそう)です。
当初、「松下(しょうか)亭」と呼ばれていました。茶人でもあった安左ヱ門は、住まいに一家言持っており、そのこだわりが造作に反映されています。 著名な文化人、政財界人等を招いての茶会が絶えず開かれていた老欅荘は幾度と増築を繰り返し今の規模になりました。 荘の周囲を囲む塀の高さは、プライバシーと眺望の両方を満たす高さに作られています。 敷地内にはもう一つの茶室として移築された野崎廣太(幻庵)の茶室「葉雨(ようう)庵」があり、 この2つの建築は国登録有形文化財となっております。また、地域の会合や茶会等にも利用されています。
バスは大磯へ、ここでは2か所の文学に所縁ある建築を見学。まずは鴫立庵へ。江戸時代初期の1664 年、小田原の外郎(ういろう)商人の崇雪(そうせつ)が、草庵を結んだのが由来です。その後、紀行家・大淀三千風(おおよどみちかぜ)が鴫立庵主第一世として入庵以来、京都の落柿舎、滋賀の無名庵と並び日本三大俳諧道場として、現在第二十二世へと続いています。敷地内に建立の石碑の銘文「著 盡湘南清絶地」から、「湘南発祥の地」との説もあります。
鴫立庵から、国道1号線を小田原方面に歩き路地に分入りJR東海道線の方向に進むと、島崎藤村の終の棲家があります。
1941年1月、藤村は湯河原に休養に向かう途中、左義長(どんど焼き)見物の為大磯を訪れます。
大磯の左義長は高さ10mほどの藁の塔を何本も砂浜に立て、夜になるとその年の恵方から点火するという勇壮なもので、
国指定重要無形民族文化財であります。
この左義長に見惚れ大磯に住むことを決め、当初は貸別荘として建てられた現邸に入居、後年自らこれ買い取り晩年の住まいとしました。
夫人宛の書簡にて「萬事閑居簡素不自由なし」と記し、簡素を信条とした藤村の人物像が垣間見られます。
続いて訪れた平塚では八幡山の洋館(旧横浜ゴム記念館)を見学します。海軍火薬廠の前身、日本爆発物製造(株)の英国人支配人の執務館の建物を、横浜ゴム(株)が譲受し応接・会議室として使用していた建物で2004年平塚市に無償譲渡、移築。
会議室は登録制で一般団体も時間借りができます。中支部でもイベントや支部総会の会場として活用させていただいております。
県央支部では愛川町の古民家山十邸、神奈川工科大学の先進技術研究所を見学致しました。
愛川町役場にほど近い閑静な住宅街に、威厳ある古民家があります。それが古民家山十邸です。
明治初期のこの地域の豪農、熊坂半兵衛の邸宅で、山十とは同家の屋号でした。半原の宮大工棟梁の矢内三兄弟によって
建てられたこの邸宅は、当地では稀有な瓦葺入母屋で、土間には16寸の欅の大黒柱を有し、
上り段は長さ7mの欅の一枚板で作られているのが特徴です。
その後本邸は戦前の思想家、大川周明が1944年に熊坂氏より購入、戦後はこの地で農村復興運動に取り組みます。
大川の1957年の没後、1989年に町が建物、庭園を修復公開したほか、現在は地域の集会等の交流施設に活用されています。(毎週火曜、土日以外の祝日翌日、年末年始休園)最後に訪れたのは厚木市下荻野の神奈川工科大学です。
同学の校舎内の建築というと石上純也の「KAIT工房」を思い出す方も多いと思いますが、
今回はその対面に建つ「先進技術研究所」が見学先。
ここでは「先進ロボット」「超リアルネットワークコンテンツ創成技術」「創造音響システム」の開発が目下進行中です。
そのうち、「先進ロボット技術の開発に携わる本研究所長・山本圭治郎特命教授の講話を拝聴し、
既にリハビリ用器具として実用化が始まっている、パワーアシストハンドの装着体験をさせていただきました。
工科大を後にしまして、本厚木駅近くまで到着すると、一日お世話になったバスから降り、いよいよお待ちかねの懇親会へ!
厚木ということで「シロコロホルモン」のお店へ行きました。
シロコロを肴にテーブルごとに和気あいあいと盛り上がりました。
参加された皆様、一日お疲れさまでした。さて、第2弾はどうしましょう???
文中記事参考文献:
各訪問先発行パンフレット、webサイト、Wikipedia
女性委員会の委員は現在18名となり、活発な活動を行なっています。
年2回発行のWESニュースにて広報活動を行なってきましたが、SALONに統合されたことで、
広報のあり方を見直し中です。この一環としてホームページをリニューアルしました。
これから最新情報を折々に掲載していきますので、多くのアクセスをお待ちしています。
http://www.kanagawa-kentikusikai.com/iinkai/josei/
キーワード検索にて「 神奈川県建築士会 女性委員会」
で見ることが出来ます。
・委員会内部の勉強会
外部の講師をお招きし、勉強会を不定期で行なっております。
5/7(水)「震災直後と今-阪神淡路大震災もふまえつつ東日本大震災を見続ける」
講師 関東学院大学名誉教授 棈木紀男氏
6/4(水)「自然災害発生時の損害調査業務について」
講師 甘糟鑑定事務所代表 田中公成氏
8/9(土)「新しい、建築の見方」
講師 日本大学名誉教授 斎藤公男氏
・イベント実績
2/23(日)女性委員会発足20周年記念イベント
6/28 (土)女性委員会・防災委員会コラボセミナー
10/18(土)活動交流会参加
・今後の予定
全国女性建築士連絡協議会A分科会にて発表
女性委員会発足20周年記念誌 発刊
・委員会メンバー募集
できるときにできる活動を!
今期後半は、女性委員会歴史まとめ作業、発表用資料作成など盛りだくさんです。
ぜひご参加下さい。
1.当委員会の講習会
教育講習委員会では、受講が義務化された建築士定期講習や、「すべての建築士のための総合研修」など、
多くの建築士を対象とする、広い意義の講習会だけでなく、建築士会連合会から依頼される、倫理や紛争、
法令関係などの講習会、さらには当委員会が独自でテーマを決めて企画する講習会を開催しています。
2.講習会の現状
最近の講習会の状況をお話しさせていただく前に、講習会を開催するまでの経緯を、当委員会企画の講習会を例に、
簡単にご紹介させていただきます。
まずは講習会のテーマですが、これは皆様が興味があるであろうと思われるものに絡めて、大まかなテーマをまず決めます。
そして委員会の皆で意見を出し合ってテーマを絞っていきますが、ここに一番時間を使います。皆様の興味から外れては受講者は集まらないだろう、あまりにも狭い内容のテーマでは、受講者の意に沿わなくなることも多いだろうし、広すぎるテーマでは、講師や講義時間の問題も出てきますが、その前に皆様の興味が湧かないだろうと。
講師との相談を交えながら詳細内容を決め、開催時期、会場等を決定していきます。
企画立案から開催まで半年以上かかる場合もあります。
では、それらの講習会の最近の状況はどうかというと、受講者の数でいえば、芳しくないのが現状です。
開催の告知方法がうまくいっていないのか、講習会のテーマかうまく合っていないのか、
改善策をいろいろと考えているところです。なかには、昨年度、一昨年度と多くの方にご参加をいただいて、
今年度も第3弾を企画しているリフォーム講習会のような講習会もあるのですが。
「すべての建築士のための総合研修」も年々参加者か減っているように思われますし、重要性とか目的とか、
講習会に対する皆様の意識が変わってきているのでしょうか。
3.今後の課題
開催された講習会が、受講者の満足のいくものだったのかを検証し、次の講習会に生かすことが必要でした。皆様の意見を多くいただき、講習会の企画に生かしたいというのが、今の私たちの気持ちです。講習会の最後にアンケートを取らなかったり、ご意見を受け付ける委員会直通のEメールがなかったりと、積極的に皆様のご意見を取り入れようとしなかったのは、反省するべきところだと思っております。
また開催の詳細を告知する、当委員会のホームページのさらなる充実も図らなくてはなりません。次回の講習会を楽しみにチェックしていただいて、意見や要望を気兼ねなくいただける環境が理想なのですが。
受講者の数を増やすことも重要ですが、受講者の満足度をさらに高めていくことがもっと重要なことに思います。
4.新しい試み
毎年恒例の「神奈川建築コンクール入賞作品見学会」は当委員会で企画していますが、
このような見学会をもっと開催しようという話もでています。完成された建物だけでなく、
たとえば建設途中の建築物を利用した技術見学会など。みんなで現場を見ながら屋外で行う講習会です。昨年度に「近代神奈川の建築と都市 講演会・見学会」と題して横浜市内の近代建築物をめぐる見学会を
開催しましたが、通常の講習会とは全く趣が違い、非常に新鮮だったように思います。また他団体(建築関連団体でなく)と連携して講習会や勉強会を行いあっては?
という案もでています。建築の知識を必要としている団体もあれば、建築以外の知識を必要としている建築士も多くいるのではと思います。たとえば法律、税務、ファイナンスなど。
他団体との交流を重ねて、広い知識をいただきながら、
あわせて建築士の業務や必要性を多く広められるのではと思っております。
今回は8,9月に実施した2つの部会で講習会・見学会の概要をお伝えします。
カラーUD研修は施設の見学と座学のセットでしたので大変理解しやすく
今後もこうした企画もよいのではないかと思います。
8月8日に「カラーユニバーサルデザイン サイン計画」研修会の第一回目となる
「大田区役所見学」が行われました。大田区役所は「IAUDアウォード2013」において公共空間部門の金賞を受賞しており、ユニバーサルサイン計画の実例を拝見することができました。以下は参加された会員の脇谷聡美さんの感想です。
「講師の大田区計画財政部施設管理課の伊東さん、クワハタデザインオフィスの
桑波田さんによりサインデザインされた大田区役所は、弱視者に配慮してサインを大きくする、
色の濃淡の差を大きくしてピクトを入れる等分かりやすくしていました。
トイレのピクトサインは角300mmと大きく感じましたが、かわいい印象がありました。
建物全体の誘導サインや室名、部署名のサインの色もグレーで統一されていて、すっきりと整っており、
とてもわかりやすかったです。
弱視者に必要な点字ブロックは、車椅子、お年寄り、ベビーカーにとって5mmの凹凸が危ないということが
分かっており、2mmのものにしてバリアを軽減していました。点字ブロックの点の大きさや、
棒の長さと太さ、厚みの違ったものを実際に利用する弱視者の方、車椅子の方に通ってもらい、
意見を聞くなど根拠あるものとして商品化もされています。今後、多くの場所で利用できると思いました。
今まで、デザインを優先させたいと思うこともありましたが、見えやすいように分かりやすいようにということを心がけていました。また、インテリアとの色の監修も行っていましたが、この講義を受講して、サインを利用する人を具体的に想像することができ、さらにカラーユニバーサルデザインの知識も深まりました。
9月6日に磯子公会堂集会室で行われた第二回目の研修会の模様はまた改めてご報告いたします。
9月23日、秋晴れの秋分の日に、新宿区四谷にある「東京おもちゃ美術館」で
見学会を行いました。「東京おもちゃ美術館」は、
昭和初期に建てられ、廃校になった旧四谷第四小学校(改築小学校)の校舎を活用し、
認定特定非営利活動法人日本グッド・トイ委員会が運営するおもちゃを楽しむ美術館です。
「おもちゃ美術館」ということですが、今回は神奈川県内では現存しない、
改築小学校とその活用事例を見学できる大人向けの見学会を計画しました。もちろん、子どもと一緒に参加し、
楽しむことができるのが子どもの生活環境部会です。子どもと一緒の参加も呼びかけました。
当日は、大人の方のみの参加、親子での参加がありました。
見学に先だち、子どもの生活環境部会からは、復興小学校・改築小学校について、説明をさせていただきました。
関東大震災の、り災をきっかけに生まれた復興小学校・改築小学校。復興小学校と改築小学校の違い、
防災面の耐震、耐火の観点からどこにこだわって建て替えが行われたかなどの説明を、
参加された方は興味深く聞いていらっしゃいました。そして、
東京おもちゃ美術館のチーフディレクターの方からは美術館の成り立ち、空間の使われ方、
おもちゃ美術館内の説明をとてもわかりやすく、また、子どもたちが飽きないように、
美術館で使用されているおもちゃを使い説明をしてくださいました。
そのなかで印象的だったのは、「美術館」としてのこだわりを持った空間の使い方についての話でした。
子どもと一緒に来館する大人が心地良さを感じられる様に一貫したコンセプトを持って作られた空間であること。
木の素材を生かした温かい空間を親子で体験できる様に工夫されているという点でした。
その後、館内の見学を遊びながら楽しみました。
ここは、士会会員の皆様からの投稿をご紹介する 「さろん」 です。
今号のテーマは ≪建築旅行記≫ です。上原さんのベルギー紀行は次号に続きます。お楽しみに。
皆さんも、この会員「さろん」で ≪建築旅行記≫ をご紹介ください!
ワッフル、ビール、チョコ、刺繍、アールヌーボー、タンタン、フランダースの犬、等々ベルギーにはいろいろあります。大西洋に面し、
フランス、オランダ、ルクセンブルクに囲まれたヨーロッパの小国ベルギー、首都ブリュッセルのほかアントワープ、ゲント、
ブルージュなど歴史の1ページを飾った街も知られています。
1830年独立の新しいこの国は、ラテンとゲルマンとの文化的境界に位置することにより、複雑な言語事情と共に最近のフランドル(フランダース)地方の独立運動の背景となっています。
第1日目 8月15日、極暑の日本を離れ、まずはフランス、シャルル・ド・ゴールに到着。
まだまだ明るいパリの中心地に向かい、凱旋門やシャンゼリゼ大通りを車窓から眺め、ホテルに到着。
早速パリの街並みと冷やりと過ごし易い気候を味わいながら、ホテルに程近いジャン・ヌーベルのカルティエ現代美術館と
旧い街並みを散策。
第2日目 午前中はルーブル美術館、大変な混雑の中で「モナリザ」、「ミロのヴィーナス」などミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、ダヴィド、フェルメールなどを鑑賞。セーヌ河畔に佇む建物に囲まれた広場の中心にある例のガラスのピラミッドは、駐車場からやっと大空間に辿り着き、その全容を知ることができる。
午後、バスでベルギー最初の訪問地首都ブリュッセルに向かい夕刻到着。
ホテルの最上階のレストランの夕食でブリュッセルの街を見下ろしながら、
初ベルギービールはヒューガルデンホワイトから。夕食後もまだまだ明るいブリュッセルの中心地に外出。
ゴシック様式の市庁舎、後期ゴシック様式の王の家、バロック様式のブラバン公の館、
そしてギルドハウス群と多様で華麗な建築群が110m×70mの広場を囲み不思議ながらも
見事な空間を作り出しているグラン・プラス(世界遺産)。
2年毎に8月に開催され多くの観光客で賑わう「花の絨毯(フラワーカーペット)」は、夜のライトアップされた幻想的雰囲気と、
昼間の広場見下ろす市庁舎のバルコニーからの特別観賞を体験。
第3日目 誰もがガッカリするので人気?の小便小僧から王立美術館へ行き、
ピーター・ブリューゲル父子、ルーベンスなどフランドル芸術を楽しみ
午後の自由時間はアールヌーボーの
建築発祥の地として仕掛人オルタ設計の建物が多く残るブリュッセルの街を散策。
漫画博物館(旧ウォーケース商店)や
ブリュッセル中央駅、アーケードが美しいギャルリー・サントゥベールなどを訪れる。
ティータイムはスペキュロスの名店「ダンドワ」でコーヒーに美味しいベルギーワッフル。
昼食、夕食はグラン・プラス周辺の名店でムール貝などベルギー料理を堪能しながら魔性のデュヴェル。
第4日目 ブリュッセルを一旦離れ、アルデンヌの森から郊外の美食家が集う町として知られるデルブュイへ。
サンティアゴ・カラトラバのリエージュ=ギユマン駅に近い世界一小さい町デルブュイは、
中世からの面影を残す村は古い石造りの家と石畳の細い路地が数百年の歴史を刻んでいる。
近郊の古城モダーヴ城を見学の後、ブリュッセル郊外 の湖畔のリゾートホテルへ。
ホテルでの夕食を済ませ、早速湖畔のビアレストランでリゾート気分に浸る。
(次号へつづく)