SALON 79 Web
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鎌倉駅東口から若宮大路を海に向かって歩き、下馬交差点を右折すると由比ケ浜通りです。
鎌倉Y邸は、江ノ島電鉄の踏切の先にある路地を少し入ったところにあります。
かつて、隣接の由比ケ浜通りに面した位置に、所有者の祖父が震災復興期の大正12〜14(1923〜1925)
年の間に開業したと考えられるキング商会本館が建っており、ラジオやレコードなどを取扱っていたそうです。
キング商会本館はお店と住居、鎌倉Y邸は別館のショールームとして使用されていたようです。
玄関は建物正面左手にあり、両側に洗い出し仕上げの柱型付け、玄関庇を洗い出し仕上げの持ち送りで支えています。
また、玄関扉は石目ガラスを嵌めた両開き自在扉で、上部はアーチ型欄間を付けています。
建物正面右手には、1階にサンルーム、建物北面にはベイウィンドウが付いています。開口部の木製建具には、
ステンドグラスや色ガラスなど多種多様なガラスが入り、外観意匠の特徴となっています。
建物を入ると、1階には東面南側の玄関とホール、正面に小窓を付けた洋室、その北側に24.5畳の広間、
広間の東側にはサンルーム、北側にはベイウィンドウ、西側には、便所、2畳の和室、台所などがあります。
広間の天井は格天井で、サンルーム欄間には、ヴェネチアのサンマルク広場をモチーフとしたステンドグラスが嵌められています。
広間北側のベイウィンドウの欄間には、ローマ近郊のチボリ広場をモチーフとしたステンドグラスが嵌められています。
また部屋境の欄間には、透明ガラスにザクロを塗料で描いたステンドグラス風の建具が嵌められています。
2階には、東側より10畳和室と7畳半和室の2間、10畳和室の南側に書斎があります。階段より続く南側及び西側には廊下を配しており、西側廊下脇には便所と台所が備えられています。また、7畳半和室の北側には階段があり、小屋裏部屋へとつながっています。
10畳和室の天井は唐笠天井で、東側の開口部には、無色、緑、黄色のダイヤガラスを嵌めた建具、外には洋風意匠のスチール手すりがつけられ、和室の設えと洋風の建具が共存し、独特の雰囲気を作っています。
鎌倉Y邸の建物は、玄関廻りの装飾、建物主要部の様々な造作、仕上げ材の使用、ステンドグラスや各種型板ガラスを使用した建具など、多種多様な意匠を見ることができます。また、当時の伝統技法や豊富な材料を随所に見ることができ、一般住宅では見られないような、珍しい造りであることが特徴といえます。
そして、鎌倉由比ヶ浜地区における、戦前期の洋風建築の意匠や技術、材料などを伝えるものとして貴重な建物です。
さらに、由比ヶ浜通りには面していませんが、戦前の商店のショールームとして建てられた建物は、
非常に珍しく事例も少ないため、建築史上においても貴重な建物であるといえます。
(参考:「Y家住宅調査報告書」より)
概要
名 称:鎌倉Y邸
所 在 地:鎌倉市由比ケ浜1丁目
建設年代:昭和5(1930)年
(固定資産評価証明書による)
設 計:不明
施 工:大貫力三(鎌倉の大工、聞き取りによる)
構造・規模:入母屋造、人工スレート葺、木造2階建て
(スクランブル調査隊 水澤結花)
はじめに
(一社)神奈川県建築士会景観整備機構委員会は、「空間資源としての建築物リノベーション」をテーマに、人口減少・少子高齢化などの現象の一つとして、空き家問題や地域資源としての建築物の次世代継承、古い建築物の利活用を通じたまちづくりのあり方に関する「景観まちづくりフォーラム」が6月18日に開催された。
本文では、景観まちづくりフォーラムに筆者が報告した「全国の空き家等を活かしたリノベーションまちづくりの動向」に基づき、概要を報告する。
低成長・成熟化時代において、今後の新たな社会問題として空き家の増加がクローズアップされている。空き家の増加には、世帯数の伸びを上回って、住宅の数が増えてきたことが挙げられている。
一方、人口減少社会の到来による公共施設の社会的寿命や市場ニーズの変化による民間ビルの機能的寿命などから、遊休資産化した公共・民間の建築物が増加傾向にある。
近年、遊休地化した民間・公共の不動産を地域資
源として見立て、建物を使いまわす、使い込む、コンバージョン等により地域資源に磨きをかけ、価値を増幅させるプロジェクトが全国各地で動き出している。
リノベーションまちづくり
リノベーションまちづくりの特徴は、遊休資産化した建築物を社会ストックや空間資源と見立て、既存の用地地域に対して、機能を混在化・複合化させる効果を持ち、地域の裏側を表に変えたり、人の流れを変えたり、人を呼び込む効果が期待される。
プレーヤーは、地域資源を発掘して磨きをかけることで、地域価値と建物価値を同時に増幅させる。
また、プレーヤーは、若者の起業者、有能で元気な女性や退職者、不動産ツールの開拓者、地域おこしの仕掛け人など多様である。
自治体にとってのリノベーションまちづくりは、「 まち ( タウン ) の資源」 を 「空間資源化」 にするための 「公民連携」 や 「リノベーションステム」 を構築し、地域の特性にあわせた効果的な活用策を推進することで「選ばれるまち・地域」の戦略の一つになりえる。また、公民連携により、小さなプロジェクトを効果的に連鎖させることで、地域全体のまちづくりを動かす仕組にもなる。
谷中のHAGISOは、元禄14年より谷中に本堂を構えるお寺を改装した木造アパートである。東日本大震災を機に解体されることになり、当時からアトリエ・シェアハウスとして利用していた東京藝術大学の学生が中心となり改修された。リノベーショ機能として、カフェ、ギャラリー、アトリエが入る『最少文化複合施設』のコンセプトのもとにリノベーションが完成し、定期的にイベントが開催されている。
Nui HOSTEL & BAR LOUNGE(ゲストハウス)は、蔵前に江戸時代から続く玩具店の倉庫を改装して作られたゲストハウス。リノベーション機能として、バー・カフェ、宿泊(簡易)を備えており、国内の顧客以外に、海外からの旅行者にも多く利用されている。 これらの施設は、知らない人同士による「集う・コラボレーション」のコンセプトをもとに、現代版のつながりをつくるコミュニケーション機能ともいえる。
地方都市の空き家率は、全国平均を上回り、市街地の空洞化に拍車をかけている。富山県射水市新湊内川の時を忘れさせる風景に惚れ込んだ、Kさんが、御車山の祭り用に交差部の隅切りを自主的に壁面後退した、門筋に配置された六角形の建造物に魅力を感じた。空き家となった畳店舗を活用して、レストラン・イベントハウスとしての「六角堂」を経営。更に空き家を活用した、イベント交流スペース兼オフィスへのリノベーションもこの夏に完成した。
福岡県福津市津屋崎に拠点を置く、「移住者支援まちづくり会社」は、2010年に活動をスタートした。5年で、移住者を1000人招く(首都圏をターゲットに1期1年で100人)経営手安とその流れで、地価が倍となり、地域特性を生かした生き方を可視化し、住まい方の常識を共に変える先駆者といえる。 空き店舗を活用した「津屋崎ブランチ」は、移住者が日替わりレストランを経営するプロジェクトである。 経営者一人当たり月5万の家賃負担だが、ここでの価値づくりが起爆剤となり、単独の店舗やネット販売などで新しいビジネスを生んでいる。
人口減少の波は、尾道にも押し寄せ、空き家、空き店舗が急増し、人口の流失という問題を抱えていた。 地元出身の中学や高校の同級生など数人が集まか」等、私たちの世代が、地域課題を解決しなければ、次世代に未来はない危機感が発火点となり、ディスカバーリンクせとうちは、2012年に会社をスタートさせた。 活動目標は明快だ、「地域づくりを通じて、事業と雇用の創出」である。そのために、瀬戸内の豊か自然、尾道・鞆の浦という歴史文化資源と向き合い、まちに住む人と訪れる人が出会う、まちの魅力を再発見し、持続性ある地域にする。 会社ができてからまだ3年、少しずつ「事業と雇用の好循環プロジェクト」が進行している。ONOMICHI U2、せとうち 湊の宿、鞆 肥後屋、尾道デニムプロジェクト、尾道自由大学、伝統産業プロジェクト、リーシングプロジェクト、シェアオフィスなど多種多様のプロジェクトが進展している。
キーワードは、さびれつつある地場の伝統産業、歴史文化のにおいが残る空き家、地域が持つロケーションなど、 地域が育んできたまちの記憶を拾い上げ、若者の自由な発想とつながりのネットワークによる価値共創が働き方、 ビジネスを変えた。事例写真は、国内はもとより、海外からも注目を集めるサイクリングロード「瀬戸内しまなみ海道」の本州側起点である尾道。 その尾道において、遊休資産化した港湾施設を活用して、サイクリストに必要なサービスを提供する複合施設にリノベーションしたのが 「ONOMICHI U2」である。 このような創意工夫による遊休資産等を活かした、リノベーションまちづくりは、住み続けるまちに活力を与える。
今年度の景観まちづくりフォーラムでは、「空き家等を活かしたリノベーションまちづくりを考える」と題して、清水淳氏(アーキラボ一級建築士事務所)と椎原晶子氏(晶地域文化研究所)の二人のパネラーをお招きしてパネルディスカッションが行われました。 まず、清水さんから、昨年4月にオープンした古民家シェアオフィス「かざはやファクトリー」について発表がありました。 清水さんはこちらの入居者であり管理人を担っておられます。ここは築80年の古民家を改築したシェアオフィスで、 建築士を始めとするクリエイターの事務所が全13ブースに入居しています。共用スペースは、 土間と屋外デッキからなる計20畳程度のスペースで、各ブースは高さ900mmのパーテーションで仕切られているのみの 開放感のある作りとなっています。共用スペースは通常、入居者の打合せスペースとなっていますが、 入居者のイベントスペースとして使われたり、一般の方に貸し出したりしています。共用設備としては、 共用スペースのほかに台所、複合機、風呂、ロフト、庭があり、各ブースの設備はコンセントと照明のみです。 入居者は、約80%が町内居住で、30代から40代の個人事業主とのことです。また、入居者募集は宅建業者は使わず口コミで 行ったとのことでした。餅つき、葉山芸術祭への参加、かき氷屋さん等多彩なイベントを入居者協働で行っているそうです。 「かざはやファクトリー」誕生のきっかけは、清水さんが独立2年目に異業種2,3人で共同で使えるオフィスを探し始めたところ 不動産情報では気に入るものがなく、またシェアオフィス開設について専門家に否定的な意見ももらったが、 自身の住まいのお隣さんの古民家に着目して、知り合いだった所有者のおばあさんに1年がかりで交渉しシェアオフィスへの 改築にこぎつけたとのことでした。工事でも床塗装のワークショップを行ったりコストカットの努力をしたそうです。 シェアオフィスの可能性については、「集まることでできることがある」特に「単独オフィスでは会えなかった人に会える」 ということや「入居者同士のフラットな関係で得られるものがある」と述べておられました。 大変な努力をさらりと説明されていると推察しますが、自然体でかつ自ら運営する空き家活用・歴史的建造物活用の取り組みで 大変好感が持てました。 私が感じた成功の要因は、①知り合いの歴史的建造物について改築の交渉が成立したこと ②自らが運営していること③個人事業主が多い葉山の地域性の3点です。
次に、椎原さんから、谷中の歴史文化資産を再生したまちづくりの動向について発表がありました。椎原さんは芸大在学中から谷中のまちづくりに関わって来られており大変説得力のあるお話でした。まちづくりの経過については別稿に譲るとして、印象に残ったのは、①楽しく住み続けることを目標として、地域の生活文化とそれを育んだ歴史的建造物を総合的に価値づけ②様々な主体の緩やかなネットワークによる長きにわたる多彩な活動により所有者の信頼を獲得③歴史的建造物(所有者)とうまく適切に活用してくれそうな者をつなぐことに注力(「歴史を含めて、ひととこととものを紹介している」)④1993年から続いている地域の人のものづくりの発表の場「芸工展」(まちじゅう展覧会)で地域イメージを醸成・発信し、手作りの店やギャラリーが増加⑤一軒ずつ、歴史的建造物保全活用のモデルを実践の5点です。 今回、清水さんのお話は建築士が出来そうな取り組みとして、 椎原さんのお話は地域的な取り組みとして、大変示唆に富むものでした。
「景観まちづくりフォーラム」の第2部として、
H27年度活動助成を受けた2団体から活動報告がありましたので、その内容について報告します。
旧東海道藤沢宿まちそだて隊活動報告
まちそだて隊の主な活動は、毎年開催の藤沢宿まつりや、助成事業(2年目)である、伝統的町家(蔵まえギャラリー)で行う「マッピングパーティ」及び「染め体験」等です。
「マッピングパーティ」とは町なかに出て地物等の情報を集めて地図化する集まりのことで、昨年度はテーマを①「まちづくり活動を知り情報発信しませんか」及び②「絵いっぱいに描き込もう藤沢宿」を実施しました。①では藤沢宿を舞台に活動する団体のメンバーを迎え、事業概要の紹介を通してお互いの活動を知ることができました。②は子供たちに参加してもらおうとインターネットを使わない企画とし、各自印象に残ったものを描いた紙を白地図に貼り込みました。今年度は、参加者の年齢層を広げられるテーマづくりと、これまでの成果や地図情報を掲載した小冊子の作成を目標にします。
もう一つの柱「伝統的な町家での染め体験」は、会場である昭和初期の伝統的な建物と触れ、
古き価値あるものを体感してもらおうと実施しているイベントの一つです。
①「泥染め」1回及び②「ベンガラ染め」2回を当事業で行いました。
町家の土間などの使い勝手が染め体験にふさわしい等の感想をいただきました。今年度は、藤沢産の藍を育て、「藤沢ブルー」の染め体験を実施します。
さらに、今年度遊行寺山門前にオープンした「藤沢市ふじさわ宿交流館」のイベントに積極的に協力する等により、藤沢宿エリアの活性化につながる魅力あるプログラムを実施していこうと思います。
湘南邸園文化祭連絡協議会活動報告
相模湾沿岸地域一帯は、明治期から別荘・保養地を形成し、政財界人・文化人らが滞在・交流する地域として発展してきました。
そのため、明治期から昭和初期に建てられた「邸園」(邸宅・庭園、歴史的建造物等)が数多く残されています。
この地域の歴史・文化や景観をかたちづくってきた邸園等の保全利活用をより一層推進するために、
2006年から地域のNPO等と県との協働により「湘南邸園文化祭」を開催しています。
湘南邸園文化祭は、邸園等を利活用した様々な文化的催しを湘南地域一帯で開催し、邸園等の存在とその価値を発信し、
地域住民・県民に再認識してもらい、保全利活用の機運を高めることを目的としています。
2015年は、10回目の開催となるため「10周年フォーラム」を文化祭の最初の催しとして開催しました。フォーラムは、藤沢市、大磯町、小田原市の3首長による各市町の取組の発表、谷中のまちづくりに携わっている椎原晶子氏の基調講演、各地の団体による取組の発表があり、これまでの取組と成果や今後の活動の参考となる事例等、大変充実した内容でした。また、大勢の方に参加いただき、我々の取組みを知っていただく良い機会となりました。そしてフォーラムを皮切りに、9月から12月にかけて各地域の邸園等を会場とした60の催しを開催し、計19,267名の方に参加いただきました。今年は、初めて三浦市から箱根町までの14市町での開催となったことが一つの成果です。
今後も、邸園等の保全利活用推進のため、文化祭の継続のみならず、他団体との連携等による、さらなる活動の発展に努めていきたいと思っています。
2016年6月17日~18日、山梨県北杜市(旧高根町)の
「清泉寮」において関東甲信越建築士会ブロック会・青年建築士協議会(=関ブロ青年協)山梨大会が開催されました。
関ブロ青年協は1都9県の青年建築士(=本会では45歳以下、入会2年未満、性別不問と規定)により構成され、
毎年6月に行われる大会では1都9県の青年建築士が一堂に会し、各単位士会での活動事例の報告(=第一分科会)、開催県が独自に研究企画したテーマによる講演会、シンポジウムを開催(=第二分科会、第四分科会※)、関ブロ青年協としてこれからの建築を見据えて実施する会議(=第三分科会)について話し合うもので、1976年(昭和51年)神奈川県鎌倉市
「鎌倉パークホテル」で第1回の大会を開催してから今年で40回目を迎えました。
※開催地により変更あり。
第一分科会は青年委員の伊藤誠一君(県央支部)による「新聞紙ドームづくり」についての発表を行いました。“ものづくり”の楽しさを子どもたちに感じてもらうため、また、建築士会活動を外とのつながりに広げるため、建築要素があり、インパクトがあり、地域、世代、建築士会がひとつになれる方法として、伊勢原市内の小学校PTAボランティア委員会との協働作業で行った経過を説明。 第一分科会Ⅱでは東京、山梨、長野の各士会のメンバーらとともに小さなドームを製作。この取り組みが各単位士会に広がっていくことと思います。
第一分科会は全国大会の「地域実践活動発表会」の選考会を兼ねており、今年は長野県建築士会の取り組みが代表選考された。建築士会の会員の減少は、多くの建築士会が問題としている点である。そしてそれは、建築士試験の受験者数の減少に繋がり、建築の道を志す者の減少にも繋がる。元をたどれば、小さな子どもたちに建築を知ってもらうところにたどり着く。長野県建築士会の活動は、根本から変えていこうという試みだ。建築は決して難しいことではないとして、模型作りなどを通して子どもたちにも建築を楽しく伝える活動をしている。このような活動は、未来の建築士を育てているといえる。 私は、建築士となるために猛勉強をしたが、建築士の免許を取得してからも、常に勉強をしなければいけないのだと感じている。 知識と教養を深めようと日々アンテナを張っている。建築士としてのプライドも生まれた。 そこに「今さら聞けない実務講習会」と題して、多方面から建築について学ぶ機会がある。建築は技術も含め、日々進化している。そこに法改正も絡んでくる。「知らなかった」ではすまされない責任がある。実務的な講習会を開催することで、現在進行形でも建築士を育てているのではないか。 長野県建築士会の活動は、全てが「集う仲間がいてこその建築士会」の「今」に繋がる。 子どもたちとの交流や現役建築士への実務講習会などの活動は、まさに「未来へ伝える建築の種まき」であると感じた。
第2分科会では、今回の会場である清泉寮を運営している、公益財団法人キープ協会の増田直弘氏による「自然の中から建築を見つめる」をテーマとした講演が行われました。増田氏は「環境教育」という分野から環境問題解決の為の活動を行っており、環境問題を解決する為には自然と人間の関係だけでなく、人間と人間の関係を再構築する必要性がある事や、持続可能な社会を作る為には持続可能な地域づくりが必要であり、 地域づくりには建築が深く関わっている事など、御自身の自宅建築の経験などを交えた大変興味深い講演でした。
若手に論理というテーマに対して途中で人の入れ替わりもあったが、おおよそ若手(20歳代〜30歳前半)が3名、年配者(30歳代後半以上)が7名の計10名程度でディスカッションを行いました。若手からは、今までの経験や知識に対する不安や日々の仕事に対する不満など、現状の悩みが話題として上がりました。一方、年配者からは、手書き図面に対する考えや仕事の教え方などを若手に対して質問する形で議論が進みました。各年代で物事の感じ方、 捉え方の違いを再認識するとともにお互いに何を求めているのか意見交換することでき、相互理解が深まる議論でした。
熊本地震で応急危険度判定を行った、沖縄県建築士会の伊東亮君を迎え、判定活動の実態や教訓をつなぐための臨時会議が開催されました。北関東エリアなど実際に出動した他県の取り組み、神奈川県の状況を意見交換した上で、約350万戸(うち旧耐震80万戸)を持つ神奈川県において、プレート型(相模トラフ)、直下型(国府津断層、松田断層、三浦断層、伊勢原断層、立川断層)それぞれの 震災リスクを考え、行政や、建築士会、支部など、これまでの枠にとらわれない、きめ細かな体制整備が急務と感じました。
第4分科会-b『大事なものは足元にある』をテーマに講師のポール・スミザー氏に前半は講演と、後半には地元清里「萌木の村」代表の船木上次氏が加わり、自然の中の建築をもう一度見つめなおす必要性を対談していただきました。 ランドスケープデザイナーで園芸家でもあるポールさんは、イギリス出身で米国ロングウッドガーデンにて園芸学をとデザインを学ばれました。現在は、八ヶ岳南山麓に在住。清里高原「萌木の村」にて庭づくりをはじめ、革新的な手法で八ヶ岳の自然と共生をする庭づくりを提唱。目的を踏まえたうえで、その土地の風土や歴史、環境条件に合う植物や材料を使うことを基本に、デザインおよび植栽プランニングを行い、人にも自然生態系にもやさしい持続可能な環境づくりを目指してる講演は、多くのスライド写真とともに利き手側にもとてもやさしいものでありました。 船木氏との対談の中では、全体の計画の大切さや植物の移動を妨げない手法や、植物に無理のない自然流の庭づくりなど実践的はお話を数多くいただくことができました。
はじめまして。川崎支部の小松と申します。 一昨年は『富岡製糸場、富弘美術館』、昨年は『山梨欲張りツアー』に参加し、今年も7月13日に川崎支部の日帰りバスツアー『横須賀めぐり』に参加をしてきました。 コースは東京湾唯一の無人島『猿島』~チャーター船での『軍港めぐり』~三崎でのおいしい海鮮昼食~バックヤードツアー付『横須賀美術館』~懇親会と盛りだくさん。ワクワク感いっぱいで、しゅっぱ~っつ!! まずは東京湾唯一の無人島『猿島』。実は私、横須賀育ちで現在も横須賀在住。この『猿島』には小学生の時によく遊びに行っておりましたが、上陸するのは32年ぶり。大人目線での『猿島』にワクワク! 三笠桟橋より船に乗り約10分で島に到着。いざ上陸!猿島桟橋から見る景色は、小学生の時の記憶とは別物で、きれいに整備された管理棟や砂浜。ここからはガイドの方と猿島散策に出発!戦争中に使用されていた弾薬庫等レンガ造りの要塞跡や人の手が加えられていない木々を見学。大人目線での『猿島』はすごく神秘的でした。
続いて、猿島桟橋よりチャーター船による『軍港めぐり』。チャーター船という事で、通常のコースとは異なり横須賀本港には入れないとの事でしたが、ガイドの楽しい説明を聞きながら、普段、陸からでは見る事が出来ない、アメリカ海軍横須賀基地や海上自衛隊の護衛艦等を見る事が出来き、楽しい航海でした。 朝から曇り空だったのが、軍港めぐり後半には日が差し、船の心地よい揺れから、甲板ではウトウトとされる方もちらほら。私もその一人で、少々の時間、夢の中に迷い込んでおりました。 『猿島』『軍港めぐり』を堪能し、お腹が空いてきたころ。次に向かうのは、おいしいまぐろ、海の幸が食べられる『三崎』。 おいしい昼食を食べにLet’s Go!!移動中もアルコールを少々!?頂きながら、三笠桟橋から1時間程で三崎に到着。おいしい海の幸とまぐろのかぶと焼き、またまたアルコールを少々!?頂き、満足でした。 お腹も満たされたところで、次に向かうのは、『横須賀美術館』。
ご存じの方も多いと思いますが、山本理顕設計工場が設計、2006年に竣工し、第52回神奈川建築コンクール一般建築部門最優秀賞を受賞した美術館です。私は今までに数回来ていますが、このロケーションや景色が大好きで、晴れた天気の日はほんと最高です。今回はあいにくの天気だったのですが、バックヤードも見学が出来、今までとは一味違った見学で良かったです。横須賀美術館の見学が終わり、川崎に戻ってきて、懇親会にも参加させて頂きました。 すごく楽しい1日で、私の地元『横須賀』の魅力を最認識しました。今度、家族で『猿島』『軍港めぐり』は行きたいと思います。 来年も川崎支部の楽しいバスツアーに参加をしたいと思いますので、宜しくお願い致します。
湘南支部の今年度の活動は、例年とは少し変わった特徴があります。茅ケ崎市、東海大学小沢研究室と三者で協定を結んだ「茅ケ崎市民俗資料館保存活用検証実行委員会」の事業活動です。この事業は、東海大学の小沢先生の指導のもと、6月には古民家見学会、7月には子ども向けのワークショップ、9月に市指定重要文化財である民俗資料館「旧和田家」の調査に入ります。10月~12月にかけては子ども向けの企画があり、3月に発表会と、年間を通しての活動があり、動向は興味深いものがあります。 9月は、青年委員会の「けんちくラーニング・モア第4回」を共催、10月には地元との共催で支部の40周年事業で見て回った蔵の復習的な講演会に参加することも考えています。このように会員以外との交流も考えられる事業や、一年を通して活動する事業があり、そのことを通して建築士会の存在を知ってもらい、会員と市民を繋ぐ機会に多く触れたいと考えています。 この夏、何よりも残念だったことは、恒例の地引網が大雨のためバーベキューともに中止になってしまったことです。完全中止は初めてのことで、連絡方法などの不備でご迷惑をおかけしたことを、紙面を借りてお詫びいたします。
士会と連携して活動している「かながわヘリテージマネージャー協会」(以下「協会」)の活動状況をお伝えします。去る3月5日に発足会が開催され正式設立に向け始動されたことは前回お伝えしました。その後数回の会合を経て、8月6日開催の全体会にて、会則、役員、事業計画、予算、具体の活動内容等が決定されるとのことです。次に、具体の活動内容は、①歴史的建造物の悉皆調査及びデータベース構築、②歴史的建造物の各種調査、③ヘリマネ大会の企画、広報や運営、④歴史的建造物保全活用に関する相談への対応、利活用へ向けた提案作成等で、②については、士会スクランブル調査隊と協調しつつヨコハマヘリテイジと連携に関して調整していく方向とのことです。
なお、去る7月22日に工学院大学(新宿)で開催された「2016年熊本地震・文化財ドクター派遣事業 中間報告会」に参加したところ、ヘリマネによる被災歴史的建造物の調査や相談対応の重要性・有効性が叫ばれておりましたので、 ヘリマネによる歴史的建造物保全活用の取組は今後ますます社会的に重要になってくるだろうと改めて認識しました。協会へは、ヘリマネ講座修了生のみならず、歴史的建造物保全活用に関心のある方はどなたでも参加可能とのことです。このような活動は、まず士会の中にスクランブル調査隊がありますが、協会には士会外の方や建築士以外の方もおられるので、 他分野の方との交流を期待して協会に参加するのも一考に値すると思います。
今年度の部会活動がスタートしました。
今後、毎月研修会・講習会を予定していますので、ふるってご参加ください。
また、昨年度作成した県内市町村耐震診断・改修等補助一覧を改定しましたので、ホームページをご覧ください。
今年度は建築環境部会で初めて、部会員が講師になる「勉強会」年4回シリーズの第1回を6月13日(月曜日)に開催しました。テーマは「2020年省エネ基準義務化・勉強会」と題して、2020年に戸建て住宅なども義務化される省エネ計算と建築環境と密接な関係にある気候、色、光、音についても、今まで建築環境部会で主催してきた講習会や自分たちで3年間毎月1回の勉強会を開催して学んできたことをもとにして、2時間の勉強会を開催しました。会員の皆様16名に参加いただきました。会場の建築士会会議室が満室になり、熱気溢れる勉強会となりました。 具体的にはQ値、Ua値などの基本数値についての説明と日本の気候と神奈川県の気候、微気候などの話をしました。第2回勉強会は9月5日、第3回は12月5日、第4回は3月6日に開催します。内容は、戸建て住宅の実際の外皮計算手順と1次エネルギー算出手順、集合住宅の外皮算出手順などです。 また、一緒に色、音、光、なども勉強していただき、計算結果の数値だけで建築環境を評価しないで、五感を含めた建築の評価手法についても考えていただきたいと考えております。若干名の席の余裕がありますので、興味のある方は参加してみてください。 また、平成28年11月20日(日曜日)に省エネ計算のベテランであります岐阜県立森林文化アカデミー 木造建築スタジオ 准教授 辻 充孝氏に、昨年に続き省エネ計算の講習もお願いしております。皆様の参加お待ちしています。
6月16日に開催された「子ども教育支援のプラットフォーム構築を考える」シンポジウム(主催:日本建築学会子ども教育支援建築会議)に子ども部会も参加し、ポスターセッションの発表を行いました。全国の大学や研究機関、ゼネコンなど様々な立場で活動されている方々と交流することができ、大変有意義な体験となりました。活動紹介パネルは8月の建築学会全国大会(福岡大学)にて展示される予定です。このような広い分野の方々の活動に触れることは、改めて建築士としての姿勢を考える良い機会となりました。午後はまちの縁側育み隊の延藤安弘先生のお話でした。『絵本を通して、都市の在り方や、子ども達と町人たちの在り方などをおもしろく、わかりやすく話してくれました。延藤さんが実際にかかわった京都のコーポラティブハウスのお話しと写真を見て、 都市計画と住まい方について深く考えてみたくなりました。』(子ども部会 宇野素子)
6月25日(土)には、子ども部会報告会を昨年と同様カフェ形式で行いました。会場のさくらワークスイベントスペースには、多くの方のご来場を頂きました。
前半は2015年度の活動報告を担当者から発表しました。昨年度は、「中高生のための建築講座PARTⅡ」「蔵まえギャラリー建物探検」「住みたい家工作」等のワークショップをはじめ、講習会として「ファシリテーター講座実践編」、一般の方にも子ども部会を知ってもらおうと企画した「子ども部会フェス」と1年間フル活動でしたが、それぞれ裏話を交えながらご紹介しました。
また、ファシリテーター講座のアイスブレイクや、子ども部会フェスで紹介した「木のトランプ」を来場者の皆さんと一緒に体験しました。「子ども部会ってこんなふうにやっているんだね。」と感じて頂けたら幸いです。
カフェ後半は、珈琲片手におしゃべり出来る場として来て頂いた方々をご紹介しながら交流しました。
子ども部会では今年度も建築やまちを子どもとおとなが一緒に考える企画を作り上げていきたいと思います。11月、12月には藤沢市「ふじさわ宿交流館」「蔵まえギャラリー」で活動予定です。子ども部会について詳しい情報はこちらまで。
HPもどうぞご覧ください。
連絡先:kodomo@kanagawa-kentikusikai.com
HP:http://www.kanagawa-kentikusikai.com/iinkai/gijutsu/kodomo/